第47話 冥王の毛根ケア
文字数 1,245文字
「高田君がいなくなって、
特別室と渡り合えるのって、
向井君くらいしかいないんだよね。
その前は死神だったんだけど、
私がか弱いからか、
ストレスで核が弱って、
消えちゃうんだよ。
その点、君は強いからさ」
「それは冥王は繊細で、
俺の神経は図太い、
という事でしょうか? 」
「そんなこと誰も言ってませんよ」
「だったら、
もう少し死神増やしてくださいよ。
特例のスタッフが少なすぎます」
「ん~……」
冥王が自分の毛を触る。
「今、毛根ケア中なんですよね~」
「髪が嫌なら髭を生やせばいいでしょ」
「顔はすっきりシャープな方が、
カッコいいじゃないですか.
だからお手入れも欠かせないんですよ」
「お手入れね……あっ、
そういえばこのところ、
スキンケアの宅配が、
冥王に届けられてますけど……」
向井が眉間にしわを寄せて横を見る。
「いいじゃないですか。
この前、
向井君が買ってきてくれた雑誌。
あの付録に試供品でパックがついてて、
使ってみたらお肌がツルツル~♪
気持ちよかったんで、
ヘアケアと一緒に買っちゃいました。
スキンケアは身だしなみですからね~」
「誰に見せるわけでもないのに……
他のものが知ったら怒りますよ」
「内緒、内緒」
冥王が両手で拝むように向井を見て笑った。
「そうだ。さっき、
時間はたっぷりあるって言いましたけど、
もし、もしもですよ。
地球が消滅してしまったら、
俺達はどうなるんですか?
抑々ここって、
どこの管理下にあるんですか? 」
「ん? それは私も知らん。
ただの冥王だから」
とぼけた顔をして、肩をすくめた。
「そんなことよりさ~」
あっ、話をそらした。
これ以上は話したくないのだろう。
向井は小さくため息をついた。
「あの漫画だけど、
連載決まったって?
雑誌と一緒に、
単行本も出たら買って来てよ。
図書室に置くから」
「冥王のキャンペーン効果か、
新田君も牧野君もハマって読んでましたよ。
よかったじゃないですか」
「いや、実際面白いからね。
しかもあのタイトルが、
『ゾンビ少年と赤い神聖ばあ』だよ。
笑えるよね。
これは絶対アニメ化になりますよ。
私のカンは当たるんです」
冥王は自信満々に胸を張った。
「そういえば虎獅狼も、
同じようなこと言ってましたね。
おかげで山川さんは、
暫くあの仕事を継続するそうです」
「いいじゃないの」
冥王は気にするでもなく楽しそうだ。
「冥王がいいなら構いませんけど。
あっ、そうだ。
少し相談したいことがあるんですけど」
「なに? なに? 」
「それが……」
話し始めようとしたところで、
カトルセが冥王を呼びに来た。
「元秀さんが探してましたよ。
掛け軸の図案の事で話があるとか」
「おお、
そういえば話をする約束でした。
君から頼んでくれたんだって?
やはり向井君には、
延長してもらいたいなぁ。
君の話はあとで聞くから、
部屋に来てください」
冥王はそれだけ言うと、
いそいそと嬉しそうに工房の方へ向かった。
牧野君は冥王に会いたいと言っていたのに、
会見に夢中で気づかないとは……
彼は冥王とは会えない運命なのかな?
向井は笑いながら、
部屋の中へと入っていった。
特別室と渡り合えるのって、
向井君くらいしかいないんだよね。
その前は死神だったんだけど、
私がか弱いからか、
ストレスで核が弱って、
消えちゃうんだよ。
その点、君は強いからさ」
「それは冥王は繊細で、
俺の神経は図太い、
という事でしょうか? 」
「そんなこと誰も言ってませんよ」
「だったら、
もう少し死神増やしてくださいよ。
特例のスタッフが少なすぎます」
「ん~……」
冥王が自分の毛を触る。
「今、毛根ケア中なんですよね~」
「髪が嫌なら髭を生やせばいいでしょ」
「顔はすっきりシャープな方が、
カッコいいじゃないですか.
だからお手入れも欠かせないんですよ」
「お手入れね……あっ、
そういえばこのところ、
スキンケアの宅配が、
冥王に届けられてますけど……」
向井が眉間にしわを寄せて横を見る。
「いいじゃないですか。
この前、
向井君が買ってきてくれた雑誌。
あの付録に試供品でパックがついてて、
使ってみたらお肌がツルツル~♪
気持ちよかったんで、
ヘアケアと一緒に買っちゃいました。
スキンケアは身だしなみですからね~」
「誰に見せるわけでもないのに……
他のものが知ったら怒りますよ」
「内緒、内緒」
冥王が両手で拝むように向井を見て笑った。
「そうだ。さっき、
時間はたっぷりあるって言いましたけど、
もし、もしもですよ。
地球が消滅してしまったら、
俺達はどうなるんですか?
抑々ここって、
どこの管理下にあるんですか? 」
「ん? それは私も知らん。
ただの冥王だから」
とぼけた顔をして、肩をすくめた。
「そんなことよりさ~」
あっ、話をそらした。
これ以上は話したくないのだろう。
向井は小さくため息をついた。
「あの漫画だけど、
連載決まったって?
雑誌と一緒に、
単行本も出たら買って来てよ。
図書室に置くから」
「冥王のキャンペーン効果か、
新田君も牧野君もハマって読んでましたよ。
よかったじゃないですか」
「いや、実際面白いからね。
しかもあのタイトルが、
『ゾンビ少年と赤い神聖ばあ』だよ。
笑えるよね。
これは絶対アニメ化になりますよ。
私のカンは当たるんです」
冥王は自信満々に胸を張った。
「そういえば虎獅狼も、
同じようなこと言ってましたね。
おかげで山川さんは、
暫くあの仕事を継続するそうです」
「いいじゃないの」
冥王は気にするでもなく楽しそうだ。
「冥王がいいなら構いませんけど。
あっ、そうだ。
少し相談したいことがあるんですけど」
「なに? なに? 」
「それが……」
話し始めようとしたところで、
カトルセが冥王を呼びに来た。
「元秀さんが探してましたよ。
掛け軸の図案の事で話があるとか」
「おお、
そういえば話をする約束でした。
君から頼んでくれたんだって?
やはり向井君には、
延長してもらいたいなぁ。
君の話はあとで聞くから、
部屋に来てください」
冥王はそれだけ言うと、
いそいそと嬉しそうに工房の方へ向かった。
牧野君は冥王に会いたいと言っていたのに、
会見に夢中で気づかないとは……
彼は冥王とは会えない運命なのかな?
向井は笑いながら、
部屋の中へと入っていった。
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