第103話 チップの埋め込み
文字数 1,308文字
「向井さんは三十代だよね。
二十代から下は肩にチップを、
埋められてるらしいんですよ。
俺も死んで知ったんですけど。
そのせいで死んだ後の肉体は、
上手く動かせないそうです」
新田が話し始めた。
「国民番号証明書が発行されて、
その後国民が、
階級制になっていたって、
知ってました? 」
向井達は驚いて首を横に振った。
「国のトップクラスをプラス。
そこから3A、2A、A、マイナス。
プラスと3Aはチップは免除。
これは世襲でつながっている、
主に政財界の人間で、
2Aから下は生まれた階級で、
チップが埋め込まれているとか」
「えっ? そうなの? どこ?
どこにあるの? 」
牧野が起き上がって、
自分の体を触った。
「肩甲骨のあたりらしい。
チップの埋め込みは、
元々の血筋による、
身分制度で決められているので、
国民の殆どが、
チップを埋め込まれて、
監視されているって」
「冗談だろ? 」
牧野がぞっとしたように言い、
向井も驚きに目を見開いた。
「冗談じゃないんだって。
俺と牧野君は医務室行って、
肩のあたりに、
機械をあてられただろう。
仕事の時は人間でいるから、
チップを破壊したんだってさ。
子は宝政策で、
子育て家庭無償化が決まって、
出産後に2Aから下の乳児には、
全国にある国立乳児病院で、
検査を受ける義務化が、
始まったじゃないか。
そこで知らないうちに、
チップインジェクションが、
されているらしいよ。
半永久持つチップらしいけど、
経年劣化もあるらしくて、
今は人体実験の段階なのかな」
「チップの埋め込みなんて……
無償化の代償にしては大きいですね」
向井が吐息を漏らすように話した。
「そういえば戦後百年を過ぎて、
新しい国家の誕生と、
多くの政策が発表されて、
お祝いムードでしたよね。
家族子宝の会って団体が、
大臣と一緒に被災地まわってましたしね」
向井が当時を思い出すように言った。
「そんなお祝いなんてあったの?
俺知らないよ」
「牧野君が幼い頃だから、
覚えてなくても当然かな。
俺が中学生の時だから」
「そうだ。
あの大災害があった年の後だから……
おれも小学生で、
怖かったことしか記憶にないな。
ただ……当時、
何かワクチンみたいなもの、
打たされたんだよ。
今考えたら、
それがチップだったんだけど、
あの大災害の後だったからさ。
何かよくわからないうちに、
色々された記憶しかない…」
新田も考え込むように言った。
「あの時はこの国は、
もう沈没するって言われて、
富裕層は国外に逃げたし、
外国人も母国に戻った年、
だったんだよね。
学校で習った」
「あの時法案に反対したものは、
一部の国民からもバッシング受けて、
淘汰されましたからね。
災害が治まった後は、
子育て国家を売りにした、
大沢の人気が急上昇……
知らないうちに、
子育て世代は大沢に、
加担していたという訳ですか」
「やり方がえげつないですよね」
新田もため息をついた。
「俺がまだ新人だった頃、
大沢幹事長のお孫さんが、
俺のファンだって言うんで、
事務所に言われて会いましたけど、
尊大でいい印象はなかったな。
彼が病気で亡くなった時は、
この国も少しは、
変わるかと思ったのに、
前よりひどくなってる、
気がするんだよね」
「だったら、俺、死んで正解? 」
牧野の言葉に沈黙が続いた。
二十代から下は肩にチップを、
埋められてるらしいんですよ。
俺も死んで知ったんですけど。
そのせいで死んだ後の肉体は、
上手く動かせないそうです」
新田が話し始めた。
「国民番号証明書が発行されて、
その後国民が、
階級制になっていたって、
知ってました? 」
向井達は驚いて首を横に振った。
「国のトップクラスをプラス。
そこから3A、2A、A、マイナス。
プラスと3Aはチップは免除。
これは世襲でつながっている、
主に政財界の人間で、
2Aから下は生まれた階級で、
チップが埋め込まれているとか」
「えっ? そうなの? どこ?
どこにあるの? 」
牧野が起き上がって、
自分の体を触った。
「肩甲骨のあたりらしい。
チップの埋め込みは、
元々の血筋による、
身分制度で決められているので、
国民の殆どが、
チップを埋め込まれて、
監視されているって」
「冗談だろ? 」
牧野がぞっとしたように言い、
向井も驚きに目を見開いた。
「冗談じゃないんだって。
俺と牧野君は医務室行って、
肩のあたりに、
機械をあてられただろう。
仕事の時は人間でいるから、
チップを破壊したんだってさ。
子は宝政策で、
子育て家庭無償化が決まって、
出産後に2Aから下の乳児には、
全国にある国立乳児病院で、
検査を受ける義務化が、
始まったじゃないか。
そこで知らないうちに、
チップインジェクションが、
されているらしいよ。
半永久持つチップらしいけど、
経年劣化もあるらしくて、
今は人体実験の段階なのかな」
「チップの埋め込みなんて……
無償化の代償にしては大きいですね」
向井が吐息を漏らすように話した。
「そういえば戦後百年を過ぎて、
新しい国家の誕生と、
多くの政策が発表されて、
お祝いムードでしたよね。
家族子宝の会って団体が、
大臣と一緒に被災地まわってましたしね」
向井が当時を思い出すように言った。
「そんなお祝いなんてあったの?
俺知らないよ」
「牧野君が幼い頃だから、
覚えてなくても当然かな。
俺が中学生の時だから」
「そうだ。
あの大災害があった年の後だから……
おれも小学生で、
怖かったことしか記憶にないな。
ただ……当時、
何かワクチンみたいなもの、
打たされたんだよ。
今考えたら、
それがチップだったんだけど、
あの大災害の後だったからさ。
何かよくわからないうちに、
色々された記憶しかない…」
新田も考え込むように言った。
「あの時はこの国は、
もう沈没するって言われて、
富裕層は国外に逃げたし、
外国人も母国に戻った年、
だったんだよね。
学校で習った」
「あの時法案に反対したものは、
一部の国民からもバッシング受けて、
淘汰されましたからね。
災害が治まった後は、
子育て国家を売りにした、
大沢の人気が急上昇……
知らないうちに、
子育て世代は大沢に、
加担していたという訳ですか」
「やり方がえげつないですよね」
新田もため息をついた。
「俺がまだ新人だった頃、
大沢幹事長のお孫さんが、
俺のファンだって言うんで、
事務所に言われて会いましたけど、
尊大でいい印象はなかったな。
彼が病気で亡くなった時は、
この国も少しは、
変わるかと思ったのに、
前よりひどくなってる、
気がするんだよね」
「だったら、俺、死んで正解? 」
牧野の言葉に沈黙が続いた。
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