第66話 冥王と虎獅狼
文字数 1,128文字
「俺の悪口ですか? 」
「おっ、向井か。葵なら工房にいるぞ」
「工房? 」
「彼奴は今、
コラボとかいうものをしておる」
「コラボですか? 」
向井が聞くと冥王と虎獅狼が、
小さなブローチを見せてくれた。
冥王はシャツの襟に、
虎獅狼はレザーコードに付けて、
首から下げている。
「可愛いですね」
「でしょう」
冥王が言い二人は自慢げに笑った。
それぞれの漫画風似顔絵が描かれている。
「それ、三鬼たちが見たら、
欲しがると思いますよ」
「それはまずいな」
冥王はそうつぶやくと、
何やら考え込む表情をした。
その横で虎獅狼が楽しそうに話を続けた。
「これはな。プラ板というものらしい。
葵が描いた板の絵が、
熱で縮まるそうだ。
お前は見たことがあるか? 」
「子供の時、俺も作ったことありますよ」
「お前はそんなこともできるのか?
大したもんだな」
虎獅狼が感心するように頷いた。
「こんなに素敵なアートは無理ですけど、
簡単なものなら二人も作れますよ」
その言葉に冥王と虎獅狼が、
顔を見合わせた。
「作れるのか!? 」
二人のユニゾンに向井は思わず噴き出した。
「冥王がOKなら、
工房で作ったらどうですか?
これは山川さんと、
誰が作られたんですか? 」
「ほら少し前に、
プラ板作家がサロンに来たでしょう?
彼女が山川と一緒に、
コラボ作品を作っているんですよ。
早紀さんが最近付けている花のピアス。
あれもその作家に作ってもらったそうです」
「あぁ~そういえば工房の奥の机で、
アクセサリー作りをされている作家さんが、
いましたね」
向井は思い出すように上を向いた。
まり子が去った後、
特注のテーブルは弥生が使っていた。
工房に来た作家達にも評判がよく、
あとから何脚か追加して作られていた。
「なあ、
俺はブレスを装着してるんだから、
工房に出入りしても、
問題ないであろう? 」
施設にいる妖怪以外は、
問題ある妖怪として、
ブレスを装着することで、
冥界への立ち入りを許されている。
「そうだな~
虎獅狼とはファン友ですしね」
「ファン友? 」
向井が聞き返す。
「そうですよ。
私達はあのコミックのオタ活中なんです」
「物の怪の間でも話題の漫画だからな」
松田の漫画は人間よりその他の方が、
ファンが多いのかもしれないな。
向井はあきれ顔で笑った。
そこへ河原が不機嫌な顔で入ってきた。
「おや、ご機嫌斜めですね~」
冥王が言うと、
「当たり前でしょ。
あの未完の小説が、
映画になるっていうんだもん。
終わってない部分は、
違う作家が書くって言うんだから、
これが怒らずにいられるかってのよ」
河原は円形ベンチに座った。
ギャラリーの中央には、
長方形のロング書棚があり、
それを囲むようにベンチが置かれている。
虎獅狼達が、
ギャラリーで本を読みたいというので、
人気書物だけそこに置かれていた。
「おっ、向井か。葵なら工房にいるぞ」
「工房? 」
「彼奴は今、
コラボとかいうものをしておる」
「コラボですか? 」
向井が聞くと冥王と虎獅狼が、
小さなブローチを見せてくれた。
冥王はシャツの襟に、
虎獅狼はレザーコードに付けて、
首から下げている。
「可愛いですね」
「でしょう」
冥王が言い二人は自慢げに笑った。
それぞれの漫画風似顔絵が描かれている。
「それ、三鬼たちが見たら、
欲しがると思いますよ」
「それはまずいな」
冥王はそうつぶやくと、
何やら考え込む表情をした。
その横で虎獅狼が楽しそうに話を続けた。
「これはな。プラ板というものらしい。
葵が描いた板の絵が、
熱で縮まるそうだ。
お前は見たことがあるか? 」
「子供の時、俺も作ったことありますよ」
「お前はそんなこともできるのか?
大したもんだな」
虎獅狼が感心するように頷いた。
「こんなに素敵なアートは無理ですけど、
簡単なものなら二人も作れますよ」
その言葉に冥王と虎獅狼が、
顔を見合わせた。
「作れるのか!? 」
二人のユニゾンに向井は思わず噴き出した。
「冥王がOKなら、
工房で作ったらどうですか?
これは山川さんと、
誰が作られたんですか? 」
「ほら少し前に、
プラ板作家がサロンに来たでしょう?
彼女が山川と一緒に、
コラボ作品を作っているんですよ。
早紀さんが最近付けている花のピアス。
あれもその作家に作ってもらったそうです」
「あぁ~そういえば工房の奥の机で、
アクセサリー作りをされている作家さんが、
いましたね」
向井は思い出すように上を向いた。
まり子が去った後、
特注のテーブルは弥生が使っていた。
工房に来た作家達にも評判がよく、
あとから何脚か追加して作られていた。
「なあ、
俺はブレスを装着してるんだから、
工房に出入りしても、
問題ないであろう? 」
施設にいる妖怪以外は、
問題ある妖怪として、
ブレスを装着することで、
冥界への立ち入りを許されている。
「そうだな~
虎獅狼とはファン友ですしね」
「ファン友? 」
向井が聞き返す。
「そうですよ。
私達はあのコミックのオタ活中なんです」
「物の怪の間でも話題の漫画だからな」
松田の漫画は人間よりその他の方が、
ファンが多いのかもしれないな。
向井はあきれ顔で笑った。
そこへ河原が不機嫌な顔で入ってきた。
「おや、ご機嫌斜めですね~」
冥王が言うと、
「当たり前でしょ。
あの未完の小説が、
映画になるっていうんだもん。
終わってない部分は、
違う作家が書くって言うんだから、
これが怒らずにいられるかってのよ」
河原は円形ベンチに座った。
ギャラリーの中央には、
長方形のロング書棚があり、
それを囲むようにベンチが置かれている。
虎獅狼達が、
ギャラリーで本を読みたいというので、
人気書物だけそこに置かれていた。
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