第94話 妖怪 クロと千乃
文字数 1,199文字
「ほお~凄いの~
特別賞とやらを取るとは」
若侍のような姿の黒狐が言った。
「まぁな。
おぬし等にも見せてやりたかったぞ。
人気投票で一位になったその副賞の菓子だ」
「うまいの~」
黒狐のクロは美味しそうに頬張った。
「当たり前じゃ。名店の菓子折りよ」
虎獅狼と千乃は得意げに話しながら、
妖怪たちと公園で菓子を食べていた。
「わらわも出たかった」
鬼の姿をした可愛らしい姫が、
菓子をもぐもぐ食べながら言う。
「呉葉、お前の魔の力は、
人間どもにはエグすぎてうけん。
もっと愛嬌のある………ほら、
そこらのわっぱどもが持っておる、
魔法のステッキか?
ああゆうもので変身でもすれば、
ウケるかもしれんがな」
「………」
呉葉は不機嫌そうに眉根を寄せた。
「で、優勝したのは誰だ? 」
「それが死神にやられた。
一人はへたくそなダンスなんだが、
それが大うけでな。
もう一人はイイ男で、これも客に大うけよ」
「それは仕方がないの」
クロは笑うと菓子を口に放り込んだ。
――――――――
虎獅狼と千乃を探していた向井は、
アーケードを抜け公園に向かった。
ただの広い空き地の公園には、
ベンチとテーブル以外何もない。
木々は目隠しになり犯罪の温床と、
少しだけ植えられ、
昔の子供たちが遊んでいたものは、
危険遊具と言われ、
略取り外されているので、
休憩するための場所のようになっている。
子供の数も減り、
道具を使って遊ぶこともできないので、
いるのは年寄りか、
姿は見えないが、
妖怪のたまり場になっていた。
向井は公園に入ると、
この辺りにいつもいるからな………
と周りを見渡す。
すると奥のベンチに妖怪四人の、
何やら楽しそうな姿が、
視界に飛び込んできた。
「ここにいましたか」
向井が声をかけると、
「おお~今、
発表会の話で盛り上がっていたところだ」
虎獅狼が言った。
「お二人はサロン客に人気でしたよ。
羽の生えた冥王に化けた姿は、
皆さん大喜びでしたから。
お菓子ももらえてよかったですね」
向井も笑顔で話した。
その姿をじっと見つめる可愛い姫に、
向井は気づいた。
「お友達ですか? 」
「そう。呉葉とクロよ」
千乃が紹介すると、
「次に発表会があるなら、俺も出たいぞ」
クロが向井を見た。
「虎獅狼達に聞いていると思いますが、
ブレスレット装着されるのでしたら、
冥界に来られますよ」
「だったら次は俺も出る!!
この菓子が欲しい!! 」
「美味しかったですか? 」
「うむ。美味だ」
「次に開催が決まったら、
この四人で出られたらどうですか? 」
「それはいいの~
冥王に第二回をやってくれと、
お前からも頼んでくれ」
虎獅狼もやる気満々の様子だ。
呉葉がもじもじしながら、
千乃の後ろに隠れる。
見た所、
三鬼やこんと変わらない年のようだ。
「こやつは人見知りでな。
人間は特に苦手なんだが、
お前には興味はあるようだな」
「呉葉も女の子だから、
いい男には弱いのよ」
千乃が笑った。
「褒められて悪い気はしませんけどね」
向井は戸惑うように笑った。
特別賞とやらを取るとは」
若侍のような姿の黒狐が言った。
「まぁな。
おぬし等にも見せてやりたかったぞ。
人気投票で一位になったその副賞の菓子だ」
「うまいの~」
黒狐のクロは美味しそうに頬張った。
「当たり前じゃ。名店の菓子折りよ」
虎獅狼と千乃は得意げに話しながら、
妖怪たちと公園で菓子を食べていた。
「わらわも出たかった」
鬼の姿をした可愛らしい姫が、
菓子をもぐもぐ食べながら言う。
「呉葉、お前の魔の力は、
人間どもにはエグすぎてうけん。
もっと愛嬌のある………ほら、
そこらのわっぱどもが持っておる、
魔法のステッキか?
ああゆうもので変身でもすれば、
ウケるかもしれんがな」
「………」
呉葉は不機嫌そうに眉根を寄せた。
「で、優勝したのは誰だ? 」
「それが死神にやられた。
一人はへたくそなダンスなんだが、
それが大うけでな。
もう一人はイイ男で、これも客に大うけよ」
「それは仕方がないの」
クロは笑うと菓子を口に放り込んだ。
――――――――
虎獅狼と千乃を探していた向井は、
アーケードを抜け公園に向かった。
ただの広い空き地の公園には、
ベンチとテーブル以外何もない。
木々は目隠しになり犯罪の温床と、
少しだけ植えられ、
昔の子供たちが遊んでいたものは、
危険遊具と言われ、
略取り外されているので、
休憩するための場所のようになっている。
子供の数も減り、
道具を使って遊ぶこともできないので、
いるのは年寄りか、
姿は見えないが、
妖怪のたまり場になっていた。
向井は公園に入ると、
この辺りにいつもいるからな………
と周りを見渡す。
すると奥のベンチに妖怪四人の、
何やら楽しそうな姿が、
視界に飛び込んできた。
「ここにいましたか」
向井が声をかけると、
「おお~今、
発表会の話で盛り上がっていたところだ」
虎獅狼が言った。
「お二人はサロン客に人気でしたよ。
羽の生えた冥王に化けた姿は、
皆さん大喜びでしたから。
お菓子ももらえてよかったですね」
向井も笑顔で話した。
その姿をじっと見つめる可愛い姫に、
向井は気づいた。
「お友達ですか? 」
「そう。呉葉とクロよ」
千乃が紹介すると、
「次に発表会があるなら、俺も出たいぞ」
クロが向井を見た。
「虎獅狼達に聞いていると思いますが、
ブレスレット装着されるのでしたら、
冥界に来られますよ」
「だったら次は俺も出る!!
この菓子が欲しい!! 」
「美味しかったですか? 」
「うむ。美味だ」
「次に開催が決まったら、
この四人で出られたらどうですか? 」
「それはいいの~
冥王に第二回をやってくれと、
お前からも頼んでくれ」
虎獅狼もやる気満々の様子だ。
呉葉がもじもじしながら、
千乃の後ろに隠れる。
見た所、
三鬼やこんと変わらない年のようだ。
「こやつは人見知りでな。
人間は特に苦手なんだが、
お前には興味はあるようだな」
「呉葉も女の子だから、
いい男には弱いのよ」
千乃が笑った。
「褒められて悪い気はしませんけどね」
向井は戸惑うように笑った。
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