第97話 人気作家 河原
文字数 1,046文字
「で、筆の方は進んでいるんですか? 」
「まあ、ぼちぼちね。
ここに来てさ、
冥界の物語も書きたくなったんだよね。
で、今、プロット書いてるんだ~」
「ほお~
あの人気作品の閻魔は酷いからね~
そのお話の方はカッコイイ、
好かれる上司に、
してくれるんですよね? 」
「えっ? 冥王は出てこないよ」
「何ですと!? 」
冥王が目を見開いて河原を見た。
「冥界のお話なのに、
私は出ないんですか? 」
「なに?
冥王を主人公にしてほしいの? 」
「それはそうでしょう。
冥界の神ですよ。私は。
カッコよくて、仕事もできて、
みんなのヒーローみたいな? 」
「………」
向井と河原が無表情で冥王を見る。
「そんな物語を、
誰が読みたいんですか? 」
向井が言うと、
「私は読みたいです」
不機嫌そうな顔をして河原を見た。
「却下!
第一、私が書きたくない」
しょんぼりする冥王を見て、
河原は仕方がなさそうな顔をすると、
口を開いた。
「でも、まぁ、
冥界の話なら冥王も陰の主役として、
カッコよく登場させるか」
「だったら早く書いてくださいよ」
「あのね~
そんなにサッサッとかけたら、
締め切りに追われる事なんかないでしょ」
「う~私は読みたいです」
むくれる冥王と河原を見ながら、
向井が言った。
「新作もいいですけど、
続きの方もお願いしますよ。
エナトさんが、
続きを楽しみに待ってますから」
「そっか~では、ぼちぼち、
十三巻出しますか」
「えっ?
出来上がっているんですか? 」
向井と冥王が驚く。
「一冊分はね。
冥界でしか読めないから、
スペシャルだよね~」
河原は笑うと、
「フンフに原稿渡しておくから、
図書室に新刊として、
置いといてもらって」
それだけ言うと、
仕事に戻っていった。
フンフは図書室担当の死神で、
冥王のわがままにも応えて、
本を集め、
河原や葵が描く同人誌も、
発行して並べている。
「フンフも、
わがままな奴らに振り回されて、
大変だよな」
その声に向井達が振り返ると、
伸びをする牧野が立っていた。
「あ~よく寝た。
図書室の椅子って寝心地いいよね」
「わがままって、私ですか?
牧野君に言われたくないですね~」
「俺のはわがままじゃなくて正直なの」
「ほお~
勝手気侭に行動しているものを正直とは、
いつからそうなったんでしょうね~」
「なんだよ。喧嘩売ってるの? 」
くだらないことで、
言い争っている二人を、
向井はばかばかしく見ていた。
「あぁそうだ。この前の発表会。
虎獅狼達が、
また参戦したいそうですよ。
なんだか盛り上がってましたから、
余程楽しかったんでしょうね。
他の妖怪も出たいと言ってました」
「まあ、ぼちぼちね。
ここに来てさ、
冥界の物語も書きたくなったんだよね。
で、今、プロット書いてるんだ~」
「ほお~
あの人気作品の閻魔は酷いからね~
そのお話の方はカッコイイ、
好かれる上司に、
してくれるんですよね? 」
「えっ? 冥王は出てこないよ」
「何ですと!? 」
冥王が目を見開いて河原を見た。
「冥界のお話なのに、
私は出ないんですか? 」
「なに?
冥王を主人公にしてほしいの? 」
「それはそうでしょう。
冥界の神ですよ。私は。
カッコよくて、仕事もできて、
みんなのヒーローみたいな? 」
「………」
向井と河原が無表情で冥王を見る。
「そんな物語を、
誰が読みたいんですか? 」
向井が言うと、
「私は読みたいです」
不機嫌そうな顔をして河原を見た。
「却下!
第一、私が書きたくない」
しょんぼりする冥王を見て、
河原は仕方がなさそうな顔をすると、
口を開いた。
「でも、まぁ、
冥界の話なら冥王も陰の主役として、
カッコよく登場させるか」
「だったら早く書いてくださいよ」
「あのね~
そんなにサッサッとかけたら、
締め切りに追われる事なんかないでしょ」
「う~私は読みたいです」
むくれる冥王と河原を見ながら、
向井が言った。
「新作もいいですけど、
続きの方もお願いしますよ。
エナトさんが、
続きを楽しみに待ってますから」
「そっか~では、ぼちぼち、
十三巻出しますか」
「えっ?
出来上がっているんですか? 」
向井と冥王が驚く。
「一冊分はね。
冥界でしか読めないから、
スペシャルだよね~」
河原は笑うと、
「フンフに原稿渡しておくから、
図書室に新刊として、
置いといてもらって」
それだけ言うと、
仕事に戻っていった。
フンフは図書室担当の死神で、
冥王のわがままにも応えて、
本を集め、
河原や葵が描く同人誌も、
発行して並べている。
「フンフも、
わがままな奴らに振り回されて、
大変だよな」
その声に向井達が振り返ると、
伸びをする牧野が立っていた。
「あ~よく寝た。
図書室の椅子って寝心地いいよね」
「わがままって、私ですか?
牧野君に言われたくないですね~」
「俺のはわがままじゃなくて正直なの」
「ほお~
勝手気侭に行動しているものを正直とは、
いつからそうなったんでしょうね~」
「なんだよ。喧嘩売ってるの? 」
くだらないことで、
言い争っている二人を、
向井はばかばかしく見ていた。
「あぁそうだ。この前の発表会。
虎獅狼達が、
また参戦したいそうですよ。
なんだか盛り上がってましたから、
余程楽しかったんでしょうね。
他の妖怪も出たいと言ってました」
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