第36話 妖怪のイラスト
文字数 1,275文字
「で、俺のことを噂していた、
君の名前を聞いてもいいですか?」
「私? どうしようかなぁ~」
妖怪は口から炎を吐きながら、
周囲に狐火のようなものを揺らした。
向井はそれを指ではじき消していく。
「まあ、酷い」
「もうその辺でいいだろう? 」
虎獅狼がいい、
「こいつは婆娑婆娑の千乃だ。
俺と葵が旅先で知り合った仲間だ。
お友達ってやつか? 」
とにやりとした。
「山川さんは妖怪になりたいんですか? 」
「まあ、あなた妖怪と人を差別するの?
ジェンダーの時代に古臭い事」
千乃がつまらなそうに言った。
「差別ではなく区別してるんです。
きちんとお互いを理解したうえで、
お友達でいるなら構いませんよ」
「まあまあ、それよりお前は、
漫画の続きが気にならんのか? 」
「虎獅狼も読んだんですか? 」
「人間とは、
面白いことを考えると思ってな。
この世は魑魅魍魎であふれておるのに、
書物でもそんな話が好きとは、
愉快じゃないか? 」
妖怪に魑魅魍魎と言われるとは……
向井は思わず吹き出した。
「そうだ。
トリアさんから聞いたんですけど、
アシの仕事を、
松田さんからお願いされているそうですね」
「そうなのよ~担当の人が来てね。
とりあえず前後編で続きを描いて、
人気があるなら連載にするって、
言ってたんだよね」
「俺が思うに、
これはヒットの予感がするぞ」
虎獅狼が自信ありげな顔をする。
「で、
さっきサロンでトリアに会ったら、
冥王もOKしてるっていうし、
連載決まったら、
しばらくアシの仕事継続するよ」
「するよ…………って、
山川さんサロンにいたんですか? 」
「ん~向井さんが来る少し前にね。
そしたら、花村さんに会って、
あの人まだ成仏してなかったんだね。
驚いちゃった」
葵がケラケラ笑った。
「山川さんも人の事言えないでしょ」
「そりゃそうだ。
でね、ちょっと耳にしたんだけど、
冥界にギャラリーできるってホント? 」
「ほお~それは俺にも初耳だぞ」
「ギャラリーなんて素敵ね。
私達が見ることってできないのかしら」
虎獅狼と千乃も楽しそうに向井を見た。
「あのですね。
冥界は死人が行くところですよ」
「冥界には、
妖怪の施設があるっていうじゃないか。
俺は使役になるのは嫌だが、
妖怪が入っても問題ないんだろう? 」
「だったら、私だってみたいわ~」
「…………ふぅ、
とにかくギャラリーは、
少し先の話になると思います。
まずは工房で、
作品を作ってもらうのが先決ですから」
「そうだ。
私の作品も飾ってもらおうかな」
「何か描きたいものでもあるんですか? 」
「ほら、虎獅狼とか千乃とか、
妖怪のイラストなんてよくない? 」
「ほぉ~俺達をモデルに」
「素敵~♪ 」
三人はワイワイ賑やかに盛り上がっている。
確かに本物の妖怪を目の前に、
絵が描けることなんてそうそうないからな。
向井もギャラリーのイメージが、
頭の中で少しずつ完成されてくると、
三人に影響されたのかワクワクしてきた。
「俺はいったん冥界に戻るので、
あまり悪さをしないように。
あっそうだ。
松田さんとの契約は、
冥王からの許可が正式に通ったら、
相手と連絡を取った後に手続しますから」
向井はそれだけ言うとその場を去った。
君の名前を聞いてもいいですか?」
「私? どうしようかなぁ~」
妖怪は口から炎を吐きながら、
周囲に狐火のようなものを揺らした。
向井はそれを指ではじき消していく。
「まあ、酷い」
「もうその辺でいいだろう? 」
虎獅狼がいい、
「こいつは婆娑婆娑の千乃だ。
俺と葵が旅先で知り合った仲間だ。
お友達ってやつか? 」
とにやりとした。
「山川さんは妖怪になりたいんですか? 」
「まあ、あなた妖怪と人を差別するの?
ジェンダーの時代に古臭い事」
千乃がつまらなそうに言った。
「差別ではなく区別してるんです。
きちんとお互いを理解したうえで、
お友達でいるなら構いませんよ」
「まあまあ、それよりお前は、
漫画の続きが気にならんのか? 」
「虎獅狼も読んだんですか? 」
「人間とは、
面白いことを考えると思ってな。
この世は魑魅魍魎であふれておるのに、
書物でもそんな話が好きとは、
愉快じゃないか? 」
妖怪に魑魅魍魎と言われるとは……
向井は思わず吹き出した。
「そうだ。
トリアさんから聞いたんですけど、
アシの仕事を、
松田さんからお願いされているそうですね」
「そうなのよ~担当の人が来てね。
とりあえず前後編で続きを描いて、
人気があるなら連載にするって、
言ってたんだよね」
「俺が思うに、
これはヒットの予感がするぞ」
虎獅狼が自信ありげな顔をする。
「で、
さっきサロンでトリアに会ったら、
冥王もOKしてるっていうし、
連載決まったら、
しばらくアシの仕事継続するよ」
「するよ…………って、
山川さんサロンにいたんですか? 」
「ん~向井さんが来る少し前にね。
そしたら、花村さんに会って、
あの人まだ成仏してなかったんだね。
驚いちゃった」
葵がケラケラ笑った。
「山川さんも人の事言えないでしょ」
「そりゃそうだ。
でね、ちょっと耳にしたんだけど、
冥界にギャラリーできるってホント? 」
「ほお~それは俺にも初耳だぞ」
「ギャラリーなんて素敵ね。
私達が見ることってできないのかしら」
虎獅狼と千乃も楽しそうに向井を見た。
「あのですね。
冥界は死人が行くところですよ」
「冥界には、
妖怪の施設があるっていうじゃないか。
俺は使役になるのは嫌だが、
妖怪が入っても問題ないんだろう? 」
「だったら、私だってみたいわ~」
「…………ふぅ、
とにかくギャラリーは、
少し先の話になると思います。
まずは工房で、
作品を作ってもらうのが先決ですから」
「そうだ。
私の作品も飾ってもらおうかな」
「何か描きたいものでもあるんですか? 」
「ほら、虎獅狼とか千乃とか、
妖怪のイラストなんてよくない? 」
「ほぉ~俺達をモデルに」
「素敵~♪ 」
三人はワイワイ賑やかに盛り上がっている。
確かに本物の妖怪を目の前に、
絵が描けることなんてそうそうないからな。
向井もギャラリーのイメージが、
頭の中で少しずつ完成されてくると、
三人に影響されたのかワクワクしてきた。
「俺はいったん冥界に戻るので、
あまり悪さをしないように。
あっそうだ。
松田さんとの契約は、
冥王からの許可が正式に通ったら、
相手と連絡を取った後に手続しますから」
向井はそれだけ言うとその場を去った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
(ログインが必要です)