37、四体液説(10)
文字数 921文字
西洋では万物が四大元素からなると考えられていたため、薬も食材も「熱・令・湿・乾」のうち2つの性質を持つとされた。摂取する食材の性質が体液に影響を与えるため、中世ヨーロッパでは、医師の治療の中心は日常的な食事療法だった。
戦場にも医者がついてきて、怪我の治療だけでなく調理の方法など細かく指図していた。戦場では手に入る食材は限られているが、食材はよく火を通してから食べるように言われた。その時は面倒だったが、そのおかげで病気にならなかったのだと思う。
また、食べた物が体内で適切に「調理」され、栄養素がきちんと吸収されるように、正しい順序で腹を満たすことが大切だと考えられ、そのようにコースが組み立てられた。まず消化しやすいものが出され、徐々に腹持ちのいい料理に移行した。この養生法を軽んじると、食べた物が十分に消化されず、胃の中に悪い体液が引き込まれると思われていた。
コース料理というのはそういう意味があったのですね。金持ちが見せびらかすために人を呼んでたくさんの料理をむやみに出すのではなく、消化吸収を考えてコースを組み立てるというのが大切だったはずです。そうじゃない人もたくさんいますが・・・
食材や薬剤の性質は本草書、農書などに記され、養生書では食事に多くの頁が割かれた。キリスト教徒でアラブ人の医師イブン・ブトラーン(11世紀)はバグダードで学んだ医学を『健康全書』にまとめているが、これは食材やハーブの性質とその度合いなど、健康のために役立つ情報を表にしたものであった。