13、ヒポクラテス(6)
文字数 990文字
その他の主な業績としては、胸腔内に膿がたまった状態である膿胸の症状の例や、身体所見、外科治療法と予後についての記述があげられ、ヒポクラテスの教えは現代呼吸器学や外科を学ぶ者にとっても今日的な意味を持っている。ヒポクラテスは文書に記録の残るなかでは最初の胸部外科医であり、ヒポクラテスによる発見の数々は現在でも有効である。
ヒポクラテス学派は、(その理論の質は高くないものの)直腸の疾患と治療法についても詳しい記述を残している。例えば、痔は胆汁の粘液が多いために起こるものと考えられたが、ヒポクラテス派の医師の施した治療法は比較的先進的なものであった。『ヒポクラテス全集』には望ましい治療法として痔核を結紮(けっさつ、糸などで結ぶこと)し、熱した鉄で患部を焼灼(しょうしゃく)すると記述した文書があり、焼灼器と切除についても記載がある。また、様々な軟膏をつけるといった方法も提案されている。今日でも痔の治療においては、患部を焼灼し、結紮し、切除する過程がみられる。