56、イブン・スウィーナー(9)

文字数 960文字

イブン・スィーナーについての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
イブン・スィーナーは王侯貴族にも気兼ねなく話しかける大雑把な性格であり、禁欲的な聖人とは対極にある、世俗の楽しみをよく知る人間だった。自身の世俗的な生活と尊大さが反感を買ったこともあって、イブン・スィーナーの思想は多くの論争を引き起こした。しかし、イブン・スィーナーは敬虔なイスラム教徒であり、保守的な神学者や法学者からの批判を避けるため、信心を示すペルシャ語の四行詩をしたためた。また、人間の霊魂、神、天体の霊魂の間に共感があると考え、その繋がりを強化するには礼拝などの宗教的行為が有効であると説明した。
有名な学者は禁欲的だったと思いがちですが、イブン・スィーナーはそうではなかったのですね。
後世のイスラム世界の学者のうち、ガザーリーらはイスラーム神学の立場から、イブン・ルシェドはアリストテレス主義の立場から、イブン・スィーナーの哲学に批判を加えた。しかしナスィールッディーン・トゥースィーを初めとする学者は彼の思想を支持し、照明学派やイスファハーン学派などのイスラーム哲学の諸派やイスラーム神学やイルファーン(神秘主義哲学)に影響を及ぼした。その思想はキリスト教社会にも紹介され、13世紀のスコラ哲学の発展に多大な影響を与えた。
イスラム社会もまたたくさんの学者がいて複雑ですね。
イブン・スィーナーはアリストテレスを哲学、ガレノスを医学の師とし、アラビア医学の体系化に勤めた。医学のみならず、史上初めてのイスラーム哲学の体系化、アリストテレス哲学の明快な紹介が、イブン・スィーナーの哲学面での功績として挙げられている。彼は形而上学を頂点とする学問体系を構築し、代数学を数学の一部に含め、工学と計量学と機械学を幾何学に含めていた。
本当に幅広くいろいろな分野の知識を持った人だったのですね。
特に「存在」の問題について大きな関心を寄せ、独自の存在論を展開した。外界も自身の肉体も感知できない状態で自我の存在を把握できる「空中人間」の例えを用いて、存在は経験ではなく直観によって把握できると説明した。この空中人間説は形而上学ではなく、自然科学によって説明がされている。
このような話を聞いていると眠くなってくる。
長くて複雑な話になるので途中で区切ろう。
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