30、四体液説(3)

文字数 1,042文字

四体液説についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
四体液説によれば、体液の生成と混和、バランスの回復については、調理に喩えられ説明された。食べ物が消化されてできた養分は、静脈や肝臓の内で熱によって変化する。体内で生じた熱が適度であれば、その熱によって血液が生じ、適度でない場合には他の体液が生じて、血液に混じることになるのである。
ものすごく大雑把に言えば、食べた物は消化されて体の熱によって変化し、その熱が適度であれば血液になるけど、そうでないと他の悪い体液ができるというわけか。
そうみたいですね。
その際、より熱ければ胆汁に、より冷たければ粘液になる。黄胆汁は脾臓で吸収されて血液は浄化されるが、脾臓の機能が悪い場合には、黄胆汁は煮詰まったように黒胆汁となるし、脾臓自体が病的状態にあれば、うまく調理されない黒胆汁が身体をめぐることになる。
余は酒を飲み過ぎて体を悪くしたが、それはもう脾臓が病的状態になっていて、煮詰まった黒胆汁が体中を巡っていたのか?
脾臓の主な役割は血液中の古くなった赤血球を壊すこと、病原菌や細菌などとたたかう抗体を作ること、新しい血液を溜めることなどです。ガレノスの時代は臓器の名前や種類はわかってもその働きはほとんど知られていませんでした。アルコールを取り過ぎて悪くなるのは肝臓ですが、いずれにせよ飲み過ぎは体によくないです。
体内の熱源は、大宇宙の中心である太陽と同様に、小宇宙である人体の中心器官である心臓と考えられていた。
人間の体を小宇宙と考えるのは素晴らしいですね。
病気になった体は、「自然(ピュシス)」の治癒力・内なる熱によって回復する。すなわち、誤って混和した、あるいは生の状態の体液を調理して、体液の乱れを正常に戻そうとするのである。調理で無害になり、健康な成分から分離された「悪いもの」は嘔吐、下痢、排尿、喀出、発汗、出血、化膿などのルートで体外に排出される。
体内の熱を調理に喩えていますが、実際に調理で生のものに熱を加えることで食中毒や感染症の予防ができる、原因はわからなくても食物に熱を加えることで無害になるということを言って病気を防いでいたと思います。
怪我のような局所病の時は、炎症の形で悪い体液を「煮沸」し、消化して、膿の形で排出する。全身、局所を問わず、発熱から化膿まで、すべて治癒の過程であると考えた。
現代では怪我で化膿するのは細菌が感染して炎症を起こし、細菌と戦った白血球や細菌が膿となるということがわかっています。
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