63、イブン・スィーナー(16)

文字数 760文字

イブン・スィーナーについての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
哲学者としての彼の主著『治癒の書』は膨大な知識を集めた百科事典的なものである。『医学典範』の対になる書籍として紹介され、以下の4つの主要な部分に分けられる。

・論理学

・自然学(自然科学)、自然学の基礎理論、地学、気象論、生物学、魂論(心理学)

・数学(数学的な諸学)、幾何、天文学(アルマゲストの要約)、算術、音楽

・形而上学

イブン・スィーナーは『治癒の書』の中で、人間の知識を理論的知識と実践的知識に二分した。前者には自然学、数学、形而上学、後者には倫理学、経済学、政治学を分類した。

イブン・スィーナーは本当に幅広い知識を持った人だったのですね。
この書は、ヨーロッパ世界にアリストテレスの思想を紹介したことにも大きな意義がある。だが、難解な内容と粗悪な翻訳のため、『治癒の書』がヨーロッパに与えた影響は少なかった。12世紀に出版された初訳本は物理学と論理学の一部しか訳されておらず、他人が書いたと思われる天文学についての記述が追記されていた。後の訳本にも原本に書かれていない記述が追加されており、ヨーロッパで『治癒の書』の全体像が知られるには、多大な時間を要した。
もし『治癒の書』が早い時期にきちんと紹介されていたなら、歴史はかなり変わっていたでしょう。知識がきちんと伝えられずに捻じ曲げられていた、それが原因で僕たちの時代や後の時代でも悲惨なことが起きたように思います。
晩年に著した『救いの書』は『治癒の書』を簡潔に再編したものであり、その内容はアリストテレスの思想により忠実なものになっている。
イブン・スィーナー自身も自分の知識を後の時代に残そうと必死だったのですね。
次回からイブン・スィーナーが影響を受けた人物、キンディーについて調べてみます。
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