15、ヒポクラテス(8)

文字数 1,395文字

ヒポクラテスについての話をまとめるために、最後に『ヒポクラテスの誓い』を紹介しよう。
『ヒポクラテスの誓い』(日本語訳)としてウィキペディアに出ていた言葉を引用しています。作品集には下の画像から入ってください。
医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
やっぱり古代ギリシャの人だから多神教ですね。でもアスクレーピオスには息子もいたのに神にはなっていません。
息子たちは美女に夢中になってトロイ戦争に参加して戦死したり、天が墜ちてくるのを心配して山に囲まれた場所に住んだりと医学を極めてはいない。余は娘が生まれてすぐ王妃と離婚して娘のペトロニーラを後継者にしたが、それが正解だった。
・この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。

・師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。

この2つは当然のことだと思います。僕もこれから学んでいく中で、師への恩は忘れません。
著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
僕たちの時代は大学で医学を学べるので、医者の子でなかったり直接弟子にならなくても医学を学ぶチャンスがあります。でもやっぱり医者の子が医者になることの方が多いかもしれません。
・自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。

・依頼されても人を殺す薬を与えない。

・同様に婦人を流産させる道具を与えない。

私の生きた時代、アラゴンはともかくイングランドやフランス、そしてカスティーリャでは怖ろしい事件がたくさん起きていました。毒殺などは医者が関わることもあったと思います。
僕たちの時代はさらに酷く、聖職者ですら権力争いをして暗殺をしています。そのような時代であってもやっぱりこの誓いは守らなければいけないのでしょうか?
ヒポクラテスはおそらくこのような時代になるとは思っていなかったのであろう。だが時代がどんなに変わっても、人の命を左右する知識や技術を持った医者が人の命を奪うことはあってはならぬことである。もしこの掟が守られなくなれば、医者という職業に対する尊敬の念も失われ、病人があふれ出るとんでもない世界になってしまう。
ヒポクラテスの誓いというのは、時代が変わっても医者が守らなければいけない基本的なことを教えているのですね。
・生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。

・どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。

・医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。

守秘義務については、現代でも重要な規則となっています。
この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!

しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。

僕たちの生きている時代は、ヒポクラテスの生きた時代よりも遥かに複雑になっています。正しい主張をした者が酷い殺され方をして、暴力や陰謀で王位や教皇の位すら左右されています。
それでも医者として生きることを選んだ者はこのヒポクラテスの誓いを守らなければならない。
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