34、四体液説(7)

文字数 1,335文字

四体液説についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
この画像はヴェルサイユ宮殿の庭のために作られた彫像のデザイン、四気質を擬人化したもの(17世紀)です。左から黄胆汁質、多血質、黒胆汁質、粘液質だそうです。
古代ギリシャ・ローマでは、それぞれの体液の過少と人の気質には関係があると考えられていた。(メランコリーの語源は黒胆汁であり、「無関心な、冷淡な」を意味するプレグマティックは粘液からきている)
体液の過少と気質に関係があるとするのは興味深いですね。
『サレルノ養生訓』(12~13世紀)などにみられる各体液の典型的な気質、体質は次のとおりである。
黄胆汁質は荒々しい性格で熱血漢、短気で行動的、野心も強い。気前がいいが傲慢で、意地悪で気難しい面もある。消化力が高く大食だが、やつれて見える。脈が速く心臓に負担がかかる気質で、また張り切り過ぎて肝臓や腎疾患に陥りやすい。黄色味がかった熱く乾燥した肌をしており、硬くて水気に乏しい筋肉をしている。
この黄胆汁質によく当てはまっているのはボヘミア王ヴェンツェルだ。
ペドロ2世もけっこう黄胆汁説に当てはまっていると思います。
黒胆汁質は寡黙で頑固、孤独癖があり、運動も休養も社交も好まない。強欲で倹約家、利己的で根に持つタイプ。神経質で自殺傾向がある。注意深く明敏、勤勉で、一人で思索に耽ってばかりいる。黒胆汁は主に悪いイメージを持たれ、狂気・精神錯乱と関連する体液といわれたが、天才を生み出す体液だとも考えられた。土気色で乾燥した冷たい皮膚をしていて、たいてい痩せている。脈は遅く耳は遠い。血尿症で、食欲はあったりなかったりである。
黒胆汁質はヴェンツェルとは最も似ていないタイプだ。
ヴェンツェルに似ていないということはペドロ2世にも当てはまらないですね。私達の中で黒胆汁質に1番近いのはラミロ2世でしょうか?
余は体液が気質に関係するなどという説はあまり信じたくない。修道院で集団生活をしていればみな似たような性格になる。それは持って生まれた気質というよりも、修道院の中で身に付けたものだ。
ニコラさんも黒胆汁質だと思います。
ラミロ2世も言っているが、気質や体質は持って生まれたものだけでなく環境によるところも大きい。黄胆汁質の性格の者も、修道院に暮らしていれば黒胆汁気質になってきて1人で思索に耽るようになるだろう。それに私はかなり長生きした。年を取れば脈が遅く耳が遠くなるのも当たり前だ。
でもニコラさんは年を取ってからもすごく耳がよくて、誰かが遠くで悪口を言ってもすぐにわかってしまうのです。
それは直接声が聞こえるということではなくて、年を取れば取るほど人の心の声まで聞こえてしまうのだ。
人の心の声ならば余も毎日のように聞いた。退位して修道院で暮らすようになってからは、余は忌み嫌われ怖れられていた。それでも余は生き続けた。娘に子が生まれ、アラゴン王位が継承されるのを見届けるまでは死ねなかった。
ラミロ2世の根に持つタイプという黒胆汁質がアラゴンを守ったのだと思います。ラミロ2世は退位したけど生きていて恐れられていた、だからこそ誰も悪いことを考えず、王位が守られたのでしょう。
体液と気質の関係はすごく興味深い話です。
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