73、イブン・ハンバル(4)
文字数 584文字
イブン・ハンバルはハンバル学派の名祖として有名であるが、9世紀を代表する高名なハディース学者でもあった。彼が生涯に渡って収集したハディースは彼の息子や弟子たちが収集したものを含めて『ムスナド』として編纂された。「ムスナド」とはハディース集の様式のひとつのことであり、通常、ハディースは伝承経路(イスナード)と本文(マトン)とからなるが、預言者ムハンマドの言行を伝えた教友(サハーバ)ごとに配列されたものを言う。
ハディースは本文と伝承経路を併せて記憶されるもので、ムスナドは伝承経路の区分を意図したものであり、信憑性の高低に関わらず同系統の伝承情報を一括できるという利点がある。そのため、特定のハディースを検索・抽出するのには専門家でなければ扱いづらいものの、法学者やハディース学者など法学関係の専門家にとって有益なハディース集の様式である。特に、イブン・ハンバルの『ムスナド』はムスナド様式のハディース集としてはスンナ派で非常に信憑性の高いハディース集として尊重されてきたものである。