32、四体液説(5)

文字数 991文字

四体液説についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
ギリシャ・ローマの医学では自然治癒を重視し、悪い体液を排出し自然治癒を促すために、刃物やヒルを使って悪い体液を排出する瀉血(刺絡とも)や、下剤、浄化剤、緩下剤、誘導剤を用いた。
瀉血は現代人の感覚では怖ろしいのですが、かなり長い間行われていたようです。
また、体液のバランスのために、食事療法や運動、入浴も重視された。
現代でもこうしたことは体液のバランスを保つためというよりも、病気を防ぎ健康な生活を送るために必要なことと考えられています。
「医術について」では、すべての人に当てはまる最高のバランスがあるわけではなく、人によってその体にふさわしいバランスがあり、また健康にいいものは状況、年齢などによって変わってくると説明される。例えば、体が運動を求めている時の休息、休むべき時の運動は健康的ではなく、同じことが飲食物や薬物に関しても言われた。
これは現代でも当てはまると思います。
ビザンツ帝国で異教徒・キリスト教異端が迫害され、学者たちがサーサーン朝ペルシャに亡命したことから、四体液説をベースとしたギリシャ・ローマ医学はアラビアに伝わり、ヨーロッパではその多くが失われた。
ガレノスの医学だけでなく四体液説をベースにしたギリシャ・ローマ医学全体がヨーロッパでは1度失われ、アラビアに伝わっていたのですね。
また、同じく体液病理説に基づくインド医学も、多くの文献がアラビア語に翻訳され影響を与えた。ギリシャ・ローマ医学に各地の医学を集大成した「ギリシャ・アラビア医学」(ユナニ医学)は、アル・ラーズィー、イブン・スィーナーなど、多様な民族・宗教の学者たちによって発展した。
医学の重要な本は1度アラビア語に翻訳されたということか。それならば医学について深く理解するためには、ギリシャ語、ラテン語の知識だけでなくアラビア語も必要になってくるかもしれない。
ニコラさん、何を言い出すのですか!僕たちはもうここに出てくることを覚えるだけで精一杯です。
ちょうど『フェニキア文字とヘブライ文字』という勉強会もやっている。アラビア文字もフェニキア文字を元にして作られたのだから、ついでに覚えてしまえばいいだろう。
アラビア語はついでにと言うほど簡単ではないのですが・・・


この後イブン・スィーナなどの話が続くのですが、長くなるので次回にします。
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