98、ヤズィード1世(8)

文字数 1,174文字

ヤズィード1世についての続きです。作品集は下の画像から入ってください。
ヤズィードは即位すると地方の総督に忠誠の誓い(バイア)を要求し、総督たちから誓いを受けた。また当時のマディーナの総督でヤズィードの従兄弟にあたるアル=ワリード・ブン・ウトバ・ブン・アビー・スフヤーンに手紙を記し、ムアーウィヤの死を知らせると共にフサイン・ブン・アリー、イブン・アッ=ズバイル、そしてアブドゥッラー・ブン・ウマルから忠誠を確保するように指示した。手紙に記されていた支持は以下のようなものだった。

「忠誠を誓わせるためにフサイン、アブドゥッラー・ブン・ウマル、イブン・アッ=ズバイルを捕えよ。そして忠誠を誓う前にいかなる行動も起こす機会を与えないよう厳格に対処せよ」

かなり強引な方法で忠誠を誓わせようとしていますね。
ワリードはマルワーン・ブン・アル=ハカムに助言を求めた。これに対してマルワーンは、イブン・アッ=ズバイルとフサインは危険な存在であり強制的に忠誠を誓わせるべきだとする一方、アブドゥッラー・ブン・ウマルは脅威となる態度を見せていないため放置しておくべきだと助言した。
誰に忠誠を誓わせるかが重要になってくるのですね。
フサインはワリードの召喚に応じ、半ば非公開の会議の場でワリードとマルワーンに会い、そこでムアーウィヤの死とヤズィードの即位について知らされた。そして忠誠の誓いを求められるとフサインは非公開の場で忠誠を誓うのは不適当であると答え、公の場で忠誠を誓うことを提案した。これに対してワリードは同意したが、マルワーンはフサインが忠誠を誓うまで拘束するべきだと主張した。フサインはマルワーンを叱り飛ばし、総督側が自分を拘束しようとした場合に備えて近くで待機していた武装した従者たちの下へ立ち去った。マルワーンはフサインが出て行くとすぐにワリードに対して警告したが、ワリードはフサインとムハンマドの血縁関係を理由にフサインへ危害を加えることに対する拒否を正当化した。
フサインの態度は当然だと思うのですが・・・
もう一方のイブン・アッ=ズバイルは召喚に応じずメッカへ向かった。ワリードは80人の騎兵を送ったもののイブン・アッ=ズバイルの逃亡を許した。さらにはフサインもヤズィードに忠誠を誓うことなく早々にメッカへ去った。この失敗に不満を抱いたヤズィードは総督の地位をワリードからウマイヤ家内の遠戚にあたるアムル・ブン・サイードに交代させた。アブドゥッラー・ブン・ウマル、アブドゥッラフマーン・ブン・アビー・バクル、そしてアブドゥッラー・ブン・アッバースの3名は、以前にもムアーウィヤによるヤズィードの指名を非難していたものの、フサインやイブン・アッ=ズバイルとは異なり、最終的にヤズィードに対する忠誠を誓った。
忠誠を誓ったかどうかが重要になってくるのですね。
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