69、ムゥタズィラ学派(4)

文字数 789文字

ムゥタズィラ学派についての続きです。作品集は下の画像から入って下さい。
ムゥタズィラ学派の特徴として「神の属性の否定」、「クルアーン創造説」がある。正統派のウラマーが神の属性を認めていたのに対し、神が本質以外の外部の属性に依拠することはタウヒードに矛盾するとして、神の属性を認めなかった。神を不可視の存在とする点で学派内の意見は一致していたが、心眼で見ることができるか否かで議論が交わされていた。
このような議論はキリスト教の中でも多くされていました。
「クルアーン創造説」は、学派の創始者であるワースィルの弟子の中でも異端的な人間だったジャフム(?ー746年)によって提唱された。ウラマーはクルアーンを「神とともに永遠の存在である神の言葉」と見なしていたのに対して、唯一の神の他に永遠の存在を認める矛盾を指摘し、クルアーンは神によって創られたものだと説いた。そして、クルアーンを伝統的ハディースに頼ることなく、個人の思惟で解釈する立場を取った。
こうした考えはキリスト教のプロテスタントにも似ていると思いました。イスラム教もキリスト教やユダヤ教と同じようにいろいろな考え方の宗派が存在していました。でもおそらく正統派にとっては都合の悪い考え方という理由で迫害され、著作が禁書扱いされて姿を消していったのだと思います。
ムゥタズィラ学派の説く抽象的な神の解釈は一般市民に拒絶され、スンナ派多数派から反論を受けた。しかし、極端な宿命論の否定と人間の自由意志とそれに伴う責任に関する議論、そして伝統に囚われない発想によって科学的進歩を導いた点は高い評価を受けている。ムゥタズィラ学派の思想はアッバース朝支配下のユダヤ教徒にも影響を与え、ラビ・ユダヤ教神学形成の一翼を担った。
ユダヤ教徒にも影響を与えたというのは、すごく興味深いです。
次回からハンバル学派とアシュアリー学派について調べてみます。
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