38、四体液説(11)

文字数 1,216文字

四体液説は占星術とも結びつけて考えられていました。作品集には下の画像から入ってください。
中世ヨーロッパには、四体液、四気質は占星術と結び付けられ(占星医学、星振医学、医療占星術)診断・治療に一般的に用いられ、瀉血の時期や血を採る部位の判断にも利用された。出生時の星の位置がその人の体液の偏りや気質を決定すると考えられ、15~16世紀には「惑星とその子供たち)という思想が流行した。
僕たちの生きた16世紀はちょうど医学と占星術の結びつきが強い時代でもあったわけですね。
当時は占星術は医者の大切な教養の1つとして考えられていました。権力者や高位聖職者の侍医として働くことも多い医者は、仕える相手や家族のホロスコープを作って気質やかかりやすい病気を知り、アドバイスを与えていました。ノストラダムスも本職は医者ですが、占星術師や預言者として有名になってしまいました。
ということは、僕も医者になるためには占星術もきちんと学ばなければいけないのですね。
「惑星とその子供たち」という思想では惑星との結びつきが重要視された。木星は血液と結びつき、教養と富に恵まれた人々と関係する。
余の父上カール4世は木星との結びつきが強いと思う。教養と富に恵まれた良い人々が常に周囲にいた。
余の父上フリードリヒ2世もこのタイプであろう。生涯の後半は不幸もあったが、前半は恵まれていた。
火星は黄胆汁と結びつき、軍人と関係する。
これはもうペドロ2世がこのタイプですね。
余の兄上で戦士王と呼ばれたアルフォンソ1世もまさにこのタイプであった。余と兄上は同じ両親から生まれた兄弟なのに、育てられ方の違いで性格も人生も全く違うものになってしまった。
金星は粘液と結びつき、学者、芸術家と関係する。
私、フアン1世がこのタイプですね。
不真面目王という渾名を持ち、アラゴンの財政を傾かせたフアン1世が金星と関係があるのか?
私は芸術には深い関心があり、王妃ビオランテと一緒に吟遊詩人の保護などをしてきました。財政を傾けてしまったので評判が悪いですが、その問題がなければ、芸術王として高く評価されたかもしれません。
土星は黒胆汁と結びつき、貧民や犯罪者、身体障碍者、インディオなど、当時のヨーロッパで差別された人々と関係する。
土星だけ随分悪いイメージですね。
土星(サターン)は産まれた我が子を次々飲み込んだというサトゥルヌスの神話や、土星の占星術的解釈から、老年や死など忌まわしいイメージと紐付いた。魔女は「土星=サトゥルヌスの子供」であり、食人を行う(とされた)インディオと同類の存在で、黒胆汁過多によってメランコリー症に冒されていると見做されることもあった。
四体液説は占星術とも結びついて医者としては知っていて当たり前の知識になっていたようです。ただ土星の悪いイメージとも結びついたことで差別意識も生まれ、魔女狩りや新大陸の原住民の虐殺にもつながったとしたら怖ろしいことだと思いました。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色