68、ムゥタズィラ学派(3)

文字数 1,152文字

ムゥタズィラ学派についての続きです。作品集は下の画像から入って下さい。
ムゥタズィラ学派に属するグループは、バスラ、バグダードを中心に六派に分かれていたと言われる。ムゥタズィラ学派の著作は正統派から禁書として扱われ、イスラーム世界の主要な文化地域からムゥタズィラ学派の著作が失われた状態が長らく続いていた。
どれほどたくさんの著作が世に出ても、正統派から禁書扱いされてしまえば、それらはすぐに失われてしまうのですね。
このため、ムゥタズィラ学派の理論の復元を試みるイスラーム世界とヨーロッパの学者は、シャフラスターニーやイーズィーなどの著作の断片的な記述に頼っていた。
断片的な記述からでも理論を復元させようとするのはすごいです。
1929年から1930年にかけて、ヘルムート・リッターがイスタンブールで発見したアシュアリーの『イスラム諸学派の所説』が出版されると、資料が不足していた状況が好転する。1951年にサナアで発見されたアブドゥルジャッバールの『神学大全』の写本は初期・中期ムゥタズィラ学派の思想を伝える重要な資料となっている。
随分後の時代になってから、重要な本が発見されているのですね。
アシュアリーは同時代のムゥタズィラ学派に共通する思想として、以下の5つを挙げている。

1. タウヒード

2. アドル(神の正義)

3. 天国への約束と地獄への脅し

4. 信者と不信者の中間の立場

5. 勧善懲悪


これらの思想はユダヤ教やキリスト教とも共通していますね。
ムゥタズィラ学派はカラーム(議論、思弁)を取り入れた最初の神学者の一派であり、イスラーム史上初めて体系的な神学論を構築した初期のムゥタズィラ学派はタウヒードを合理的な思惟で擁護した。
ムゥタズィラ学派の思想は間違っていないと思います。それなのに禁書扱いされてしまったのですね。
この学派に属する人間はイスラーム世界における神、人間、世界の関係を人間の視点から理性による説明を試みた。理性による説明は行為の分析を介した人間の自由意志の確認が前提となっており、ムゥタズィラ学派は「行為の創造者」という自立した立場から神の合理的解釈を行った。
イスラム教の学派でこのような考え方があるというのは初めて知りました。
人間による行為の創造は性質が全く異なる意識的行為と無意識的行為に二分され、前者の行為について神は人間に行為を選択・実現する権利を授け、人間は様々な行為の可能性に対して正しい選択を行わなければならないとする「選択の権利」が説かれていた。人間の行為の責任は当人に帰すると考えるため、最後の審判の時に預言者ムハンマドが罪を犯した信徒の罰を極力軽いものにする「執り成し」の信仰を認めていなかった。
今までイスラム教についてはほとんど知らなかったけど、すごく興味深いです。
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