44、イスラム医学(2)
文字数 882文字
『いかにして宗教を把握するか』と題した本においては、フナインは奇跡などの宗教の真実が、おそらく人間によって作られるのではなく、人間がいくつかの現象に関する事実を説明できないことによって作られるものであると述べ、宗教に対して後ろ向きの気持ちになって増長するのは誤りであると述べた。
フナインはイスラム教の国に住みながらもネストリウス派のキリスト教徒として生き、医学だけでなく宗教に関する本も書いています。これは僕が生きている16世紀のスペインではできないことです。異教徒は迫害され、うっかり宗教に関する本など書けばすぐに捕まって殺されてしまう時代ですから。
フナイン・イブン・イスハークは眼科学分野に業績を残した。彼のヒトの目についての研究は、彼の創意のある著作『眼科学についての十論』にまとめられている。この著作は、眼科学分野をはじめて体系的に捉えたものとしてしられる。そしておそらくは当時の医科学校において好んで使われていた。
この本の中でフナインは、目の病気、その症状、治療法などといった、目の構造と解剖学的知見を細部にわたるまで詳細にしている。嚢胞と腫瘍の性質と、これらが引き起こす腫脹についても述べている。また、さまざまな種類の角膜腫瘍を手術によって治療するやり方も説明しており、この中には白内障の治療法も含まれている。『眼科学についての十論』を読むと、フナイン・イブン・イスハークの翻訳家や医者の腕前だけでなく、外科医としての腕前も優れたものを持っていたことがわかる。