6、ポダレイリオス

文字数 1,586文字

ポダレイリオスはアスクレピオスの子でマカオンの兄弟、彼もまた優れた医者であった。
作品集には下の画像から入ってください。
これがポダレイリオスの像です。
兄弟ともに名医として知られるが、マカオンは外科、ポダレイリオスは内科に精通していた。ヘレネーに求婚したのち、トリッケー人の軍勢30隻を率いてトロイア戦争に参加した。
兄弟そろって同じ相手に求婚し、トロイア戦争に駆り出されたのか。まったく何をやっている。アラゴン王家には兄弟で同じ相手に求婚した者などいないはずだ。
私達王族の結婚は基本は政略結婚ですから兄弟で同じ相手に求婚するなんてことはないし、そもそも結婚に恋愛感情もないです。
恋愛感情はないが、好き嫌いはある。余はモンペリエを狙って相続人のマリアと結婚したが、どうも好みではなくてずっと遠ざけていた。マリアが余が愛人にしていた侍女に頼んで入れ替わったことで余には息子ハイメができた。
それもかなりひどい話だと思います。
ピロクテーテースの傷を癒したのはポダレイリオスだといわれる。
ピロクテーテースというのはやっぱりヘレネーに求婚してトロイア戦争に参加した人です。トロイアに着く前にテネドス島において毒蛇に噛まれた(一説によると、別の同名の島にて箙(えびら)から落ちた矢で傷ついた。その矢は彼がヘラクレスから譲り受けたもので、ヒュドラーの毒が塗布してあった)その傷はなかなか治らず、ひどい悪臭をはなった。このためオデュッセウスがピロクテーテースをレームノス島に捨てました。
え、島に置き去りにしたのですか?それはちょっと酷い。
戦場に行ったことのある者の経験から言わせてもらえば、矢には毒を塗ってあることも多く、適切な処置をしなければ酷い悪臭を放ち、そうなったらまず助からない。神話は戦場でのリアルな出来事を表現している。
だが、ピロクテーテースの持つヘラクレスの弓なくしては、トロイアを陥落することはできないと予言されていた。10年後、オデュッセウスらが迎えに行った時、ピロクテーテースの傷はまだ癒えてなかったが、洞窟に住み、弓で獲物を捕らえて生きながらえていた。
10年もほったらかしにされたら、迎えが来ても何をいまさらと怒るのではないですか?
もちろんピロクテーテースは、自身を捨てたオデュッセウスを見たときに、かっとなって彼を殺そうとしたが、やっとのことで思いとどまった。そして彼らの説得に応じてトロイア戦争に復帰した。そしてギリシア勢の陣地に連れてこられたピロクテーテースはポダレイリオスの治療を受け、戦闘ができるところまで復活した。
ギリシャ神話というのは主役よりも脇役の方が印象に残りやすい。今の話、余は怪我をして捨てられたピロクテーテースのことが気になった。
そうです。ピロクテーテースのインパクトが強すぎます。
戦争後、ポダレイリオスはポリュポイテースらとともにコロポーンに赴き、その地で死んだカルカースを葬った。
つまりポダレイリオスは戦死しないで生き残ったということか。
さらにデルポイにやって来て、どこに住むべきか問うたところ、天が墜ちてきても害がないところに住むべしとの神託が下ったので、小アジア、カーリア地方の、周囲を山に囲まれたケルソネーソスに移り住んだという。
なんかよくわからない話だ。周りを山に囲まれていれば天が墜ちても大丈夫なのか?
ポダレイリオスの話は彼自身が活躍する場面も少ないし、どうもすっきりしないです。
それから日本には『杞憂』という言葉がありますが、これは古代中国で杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したことからきていて、心配しなくてよいことをあれこれ心配する、というような意味になります。
つまりポダレイリオスは優れた医者だったけど、心配する必要のないことを心配して、山に囲まれた場所に住み付いたというわけか。ギリシャ人の考えはどうもよくわからない。
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