3、アスクレピオス(2)
文字数 1,342文字
アルゴー船というのは船大工のアルゴスが作ったのでそう呼ばれています。英雄イアーソーンがコルキスの黄金の羊の毛皮を求める冒険のために建造されました。アルゴー船の乗組員には勇士50人が募集され、これに応じてヘーラクレース、双子のカストールとポリュデウケース、オルペウス、リュンケウスなどギリシャ神話で活躍する英雄たちが乗り込んだと言われています。
メドゥーサは怖ろしい怪物だが、その血は死んだ者を生き返らせる力を持っていた。アスクレピオスはカパネウス、リュクールゴス、アテーナイ王テーセウスの息子ヒュッポリュトス、テュンダレオース、ヒュメナイオス、ミーノースの子グラウコスらを蘇らせたという。
もし、死んだ者を蘇らせることができるなら、僕は亡くなった母さんを生き返らせたいです。母さんは僕が5歳の時に病気で亡くなり、父さんはすぐに再婚しました。新しく来た継母に僕は苛められ、7歳の時には修道院の中にある孤児院に預けられました。修道院の生活に僕はなじめず、毎日泣いてばかりいました。10歳の時には死んで母さんに会いたいと思い、食事も仕事も何もかも拒否したこともあります。
ニコラス先生には本当に感謝しています。でも僕はアスクレピオスが死者を蘇らせた気持ちがよくわかります。彼も生まれる前に母を失っています。愛する者を失いたくない、無理とわかっていても死なせたくないし死んだ者を蘇らせたい、そんな気持ちがアスクレピオスの医学の原点だと思うのです。