35、四体液説(8)

文字数 1,195文字

四体液説についての続きです。作品集には下の画像から入ってください。
古代ギリシャ・ローマでは、それぞれの体液の過少と人の気質には関係があると考えられていた。
多血質は人柄は機嫌よく社交的で、ずうずうしいが気前もいい。先のことは考えず、心変わりしやすい。娯楽が好きで好色であり、教養とは無縁のタイプ。体質は筋肉質でたくましく、脈は規則的で皮膚はぬくもりと弾力があり、胃は丈夫で睡眠の悩みもない。舌が乾きやすく太りやすい。風邪をひきやすく関節炎のタイプで、頭痛や歯通を伴うこともある。この気質の良い状態を維持できれば、老いを寄せ付けないため長生きする。
多血質はペドロ2世がかなり当てはまっていますね。
確かにそうだ。アラゴン王の中では1番多血質に当てはまっている。
好色であると書いてあったが、余はそれほどでも・・・
王妃のマリアを遠ざけて侍女にばかり手を出していたという証言が残っています。マリアが侍女と入れ替わって子ができたからいいようなものの、アラゴン王家が途絶えるところでした。
フアン1世に跡継ぎはいなくて、弟のマルティンがアラゴン王になっているではないか。
私は努力はしています!合計12人の子ができて、無事育ったのは娘2人だけですが・・・それに娘のビオランテ(ヨランド・ダラゴン)は賢夫人として有名だったようです。
ペドロ2世は健康そうなのにどうして死んだ?
戦死です。無謀な戦い方をしたと子孫はみんな思っています。本来ならもっと長生きしたはずです。
粘液質は精神的に鈍く優柔不断で臆病だが、おだやかで公平、人を騙したりしない。背は高くなく太っており、食べることが好きで運動や努力が嫌い。血の気のない皮膚の色で、肉質はやわらかく肌は湿っている。脈は遅く弱く、胃弱で口臭がひどい。貧血や腺病、鼻風邪やカタルに罹りやすく、耳鳴りや難聴になりやすい。また粘液から逃れようと唾を吐く。
粘液質は血は少ないから貧血になりやすいという感じですか?
この中ではフアン1世が粘液質なのかな。
私もこの4つの気質の中では粘液質に近いと思いました。
すべて当てはまるということはなくても、このような傾向があると考えればいいだろう。そして医者は患者の状態とこの気質を考えて治療方針を決めていた。
医者はこの4つの気質の特徴をしっかり覚え、患者がどの気質に当てはまるか考えなければならないのですね。
中には性格だけではよくわからない者もいるかもしれない。性格は環境で大きく違ってしまうからだ。だが、性格的には違っていても体液からの体質を考えれば、罹りやすい病気というのもわかってくる。
四体液説は便利ですね。
四体液説はヨーロッパの医学で長い間使われてきた。だが、私達の時代は体液のバランス以外の原因の病気についても少しずつ知られるようになった。フェリペよ、君が大人になって医者になる頃はより多くの病気についての知識を持つことになるだろう。
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