第124話

文字数 496文字

 俺はタケルになって魚軍の先頭まで瞬時に走り通すと、すぐに龍尾返しをするために、背を向ける。そして、くるりと前方の海へ。上段に構えた剣で弧を描いて大地を踏み込んだ。雨の村雲の剣を振り下ろす。大海のど真ん中に魚や貝ごと海水が大噴出し大穴が空いた。
 何百もの龍が海底へと落ちていく。
 瞬く間に海水が元へと戻るが。
 魚軍はその隙を見逃さない。数多の龍の懐へとモリを構えて勇敢に飛び込んだ。 
 俺の剣戟の音やモリで龍を突く音とが、周囲を支配した。
 袈裟斬り、そして、逆袈裟に突き。
 一体ずつ数多の龍の腹や首を斬り伏せていくと、返り血で服が真っ赤になっていた。脇にいたモリが折れてしまった魚人の一人が俺を気に掛けてくれて海水を浴びせて服の血を洗い落としてくれた。
 その時、北や南からも龍が大勢押し寄せてきた。
 どうやら、相手の作戦を妨害したのが功を為したのだろう。
 こちらの海に集中してくれている。
 怒号や龍の咆哮木霊する戦場で。
 龍の腹に大穴が空いた。
 俺は見よう見まねで一点当突を放った。

 それは、大気ごと貫通する。
 
 突きだ。

 ここ西の海にも魚軍も更に集まりだした。
 それぞれの総力戦となった。 
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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