第87話
文字数 815文字
全ての龍や魚人も光姫の竜巻の猛威に、劣勢になり動きが鈍りだした。もはや敵陣も、そして、武たちもが決死であったのだ。
おや、何か忘れているぞ。
高取は私より早くに何かに気が付いたようだ。
そうだ。伏兵の魚人たちはまだ天鳥船丸のどこかに潜んでいるはずだ。
「湯築さん! 蓮姫さんの怪我は今はまだ浅い! 早く!」
「すぐに行くわ!」
すぐさま高取は近くの湯築に加勢を頼んだのだ。実は、まだ蓮姫は長槍で魚人たちのモリを次々と弾いて戦っていたのだが。
つまりは、予知である。高取は蓮姫が怪我をするのを予め知ったのだ。そして、落雷を蓮姫を囲んだ魚人たちに複数降らした。灰となった魚人の囲みの中から、蓮姫が自力で抜け出そうとした時、湯築が蓮姫の助太刀に走るが……。
「え!」
「……!」
湯築と蓮姫が驚いて呆けた。
いつの間にか、蓮姫を囲んでいた全ての魚人たちの首があらぬ方向にずり落ちていたのだ。
タケルである。
タケルは居合い抜きで、いつの間にか蓮姫を中心に弧を描いたのだ。
剣に宿る気が、忠実に魚人の首だけを斬り飛ばしていたのだ。
その後、魚人たちは音もなく皆崩れ落ちた。
「武! まだよ! 向こうから来るわ!」
高取は天鳥船丸の両端で、龍に弓を射っている巫女たちの方を指さした。
伏兵の魚人たちは、居場所を暴かれ驚いて武に捨て身の突進をしてきた。
「任せて!」
タケルは構えるが、湯築がなんなく長槍を振り回し魚人たちの中心へと踊り込んだ。ものの数秒後には、立っている魚人は血潮を巻き上げ皆、倒れていた。
「湯築。君は強いな。ありがとう」
タケルが湯築に礼を言うが、湯築は武が好きだったのだろう。
「安心していいわ。私があなたを絶対に守るから……」
湯築はこんな戦地でも微笑んでいた。
「もうそろそろです! 見えてきました! 四海竜王です!」
甲板の先頭に立つ光姫が皆に声を張り上げた。
おや、何か忘れているぞ。
高取は私より早くに何かに気が付いたようだ。
そうだ。伏兵の魚人たちはまだ天鳥船丸のどこかに潜んでいるはずだ。
「湯築さん! 蓮姫さんの怪我は今はまだ浅い! 早く!」
「すぐに行くわ!」
すぐさま高取は近くの湯築に加勢を頼んだのだ。実は、まだ蓮姫は長槍で魚人たちのモリを次々と弾いて戦っていたのだが。
つまりは、予知である。高取は蓮姫が怪我をするのを予め知ったのだ。そして、落雷を蓮姫を囲んだ魚人たちに複数降らした。灰となった魚人の囲みの中から、蓮姫が自力で抜け出そうとした時、湯築が蓮姫の助太刀に走るが……。
「え!」
「……!」
湯築と蓮姫が驚いて呆けた。
いつの間にか、蓮姫を囲んでいた全ての魚人たちの首があらぬ方向にずり落ちていたのだ。
タケルである。
タケルは居合い抜きで、いつの間にか蓮姫を中心に弧を描いたのだ。
剣に宿る気が、忠実に魚人の首だけを斬り飛ばしていたのだ。
その後、魚人たちは音もなく皆崩れ落ちた。
「武! まだよ! 向こうから来るわ!」
高取は天鳥船丸の両端で、龍に弓を射っている巫女たちの方を指さした。
伏兵の魚人たちは、居場所を暴かれ驚いて武に捨て身の突進をしてきた。
「任せて!」
タケルは構えるが、湯築がなんなく長槍を振り回し魚人たちの中心へと踊り込んだ。ものの数秒後には、立っている魚人は血潮を巻き上げ皆、倒れていた。
「湯築。君は強いな。ありがとう」
タケルが湯築に礼を言うが、湯築は武が好きだったのだろう。
「安心していいわ。私があなたを絶対に守るから……」
湯築はこんな戦地でも微笑んでいた。
「もうそろそろです! 見えてきました! 四海竜王です!」
甲板の先頭に立つ光姫が皆に声を張り上げた。