第82話

文字数 752文字

 皆騒然とした。

 地姫と麻生が魚人たちによる危機的状況の中。なんと今までじっとしていた卓登が戦いだしたのだ。
 はて、そういえば卓登は武と互角の合気道の達人であったような。
 卓登はその呼吸力で、魚人たちのモリを返していく。元々、合気道は対多人数用の武術のようである。
 麻生に向けられた数人のモリを転換をし、体制を整えようとした地姫に向かったモリを入り身で対処した。
 踏み込みの音は教室内に鳴り響くかのようだ。魚人が幾人も打ち倒れていく。
 これには、魚人も唖然とした。当然、北龍も後で大きな誤算に頭を抱えるであろう。
 地姫が体制を整えた。
 瞬時に幾つもの落雷がベランダの空から斜めに降り注いだ。

 傷を負い。灰となったものが。多く現れた数多の魚人たちも、その勢いが劣勢になってきていた。

 私は鳳翼学園の外に行くと、遠い空から自衛隊の無数のヘリコプターが応援に駆け付けていた。
 応援の自衛隊たちが来るのも時間の問題であろう。

 麻生の友は皆、強き良き友ばかりだった。
 もう鳳翼学園は無事であろう。


 一方、ここは南極である。
 
 私は広大な南極大陸の中央を目指した。数多の龍によって掘削された氷山が漂う海の底に、巨大な竜宮城は静かに佇んでいた。
 何やら訳も分からぬ汗が出るほどの不穏な空気を私は感じていた。
 
 私は乙姫から北龍に、麻生と地姫をこれ以上襲わせないようにと頼むことにしたのだ。武たちが安心して旅を続けられるようにするためである。
 恐らく、北龍は戦を有効に進めることしか考えていないのであろうが、やはりここは説得をするしかないのではなかろうか。

 私は影武者である乙姫が来るのを自室で待っていた。
 うら若き少年たちは、せっせと部屋の掃除に励んでいた。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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