第70話

文字数 691文字

 ここは竜宮城である。
 龍神を祀り。また、多くの魚神、海神を祀る城。
 魚人たちも実は魚神の変化であった。
 惑星の海がなくなることを恐れての侵略であった。それゆえ水の豊かな地球に目を付けたのだ。多くの海神が後30年で海水がなくなると予言している。
 全ての海の生命がその命を失う。
 乙姫はその時、異例なことをした。
 そう、頷いたのだ……。

 その頃に乙姫の前に現れたのが浦島太郎であった。
 当然、地球からも賢き者の数十人が竜宮城へと来たが、その中で取り分けて浦島太郎は精悍な顔であり異例の凡人であった。なんでもその突飛な発想が買われたのだ。皆、それぞれ水のなくなった惑星の原因を調べていたが、誰も何もわからなかった。
 水が失われる。
 乙姫は決断をせざるを得なかったのだ。そして、浦島太郎を追いかけたのだ。
 遥か遥か遠い世界から、この地球へと来た乙姫は今まで独り地球の安否を気遣っていた。

 それが私の運命であろう。

 だが、影武者であるもう一人の乙姫も孤独であったのだ。影武者と私は元は同じ生命体である。後に融合するが、その場合には一つの乙姫となろう。

 遠い遠い遥かなる海での誰も知らない出来事だ。
 
 本星の水の無くなる原因の一つに、惑星の中央に鎮座していた竜宮城の近くに大穴の空いた大陸がある。おおよそ2000億トンもの水が毎秒失われ、皆はいつの間にか水の失われた地と呼んだ。
 誰かが言った。
 それは水が地下へと流れ落ちている。
 誰かが言った。
 それは星に穴が開いている。
 浦島太郎が言った言葉は、
 それはなにものかが呑み込んでいる。

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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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