第76話

文字数 553文字

「大丈夫ですから……自分の内面や精神に自信を持ってください。タケル様ならきっと……さあ、今度は横になってください」
 横になった武はまた少しの間。天井を見上げていた。
 きっと、麻生のことを考えているのだろう。
 その証拠に、武の顔は見る見る精悍な顔になっていた。

 耳を澄ますと、ここから離れたフロアから。湯築と高取と鬼姫と蓮姫の激しい修練の音が鳴り響いていた。

 私は二人が気になって、すぐにフロアへと向かった。

 鬼姫の逆袈裟に抜き放った刀からの気が、フロアの床を迸る。それを湯築が横飛びで躱した。瞬時に高取の練習用の落雷が鬼姫の頭上に降り注ぐが、鬼姫は刀を鞘に納めて真後ろへ飛び避けた。

 次に蓮姫が足を踏み込み槍を袈裟懸けにした。途端に、フロアの頑丈な床が激しく振動し、フロアの壁にバンっという空気の衝撃の音が響き渡った。
 当然、高取は寸でのところで避けていた。

 湯築が素早く蓮姫目掛けて疾走し、先端にボールの付いた槍で胸板を狙う。
 蓮姫の胸に槍が刺さる瞬間、鬼姫が横からその槍を一刀両断にしていた。

 数多の落雷を躱し、蓮姫も鬼姫も呼吸が荒くなっていた。

 湯築は斬られた槍を持ちながら呼吸を整えている。大量の汗が湯築の身体から流れ落ちているが、鬼姫と蓮姫も同じであった。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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