第78話

文字数 598文字

 忘れたわけではないが……あの三人組は、まったく役に立たないので、自室で妄想に耽る毎日であった。
 武にとってタケルでの稽古は鬼姫としているのだし。
 武自身そんなに抵抗はしなくてもよかりそうなものだった。

 ここから重要な事柄が多いので、タケルの稽古のことを深く進めていこう。

 タケルに湯築に高取は基礎を習熟し続けていき。なんと自ら応用をしていたのだ。湯築は槍に宿らせた気を遥か遠くへ飛ばし、高取は轟雷を複数同時に三キロ先まで降らせるようになっていた。

 竜宮城は総力戦のために力を温存しているのだろう。何か良からぬ動きはないに等しい。

 おや、ここ数日間で効果が現れて来たようである。武自身の気が恐ろしく高まっていた。

 そんなある日。
 今は深夜である。
 武はベッドの中で、隣に寝ている鬼姫に聞いた。
「あの、鬼姫さん。俺にも地姫さんのように龍に雷を落とせることってできるのでしょうか?」
 鬼姫は目を擦り、
「湯築さんからも同じことを聞きました」
 鬼姫は隣でクスリと笑っていた。
 それから、武と湯築は高取と地姫に落雷の術の初歩の初歩を教わることになった。
 時間も限られているので、落雷とまではいかないが、湯築は槍をいくらか帯電させることができるようになった。
武は落雷を覚えた。

 二人して高取と地姫の目の前で正座している様は、見ていてこちらも微笑ましかった。
 二人とも筋が良く。
 僅か数日で得た術であった。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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