第86話
文字数 938文字
少し呼吸を整え、腹を貫いた槍を引き抜いては、すぐさま後ろの魚人にも振りかぶる。長槍を縦横無尽に振り回しているので、これは有利に戦っているとも思えるが。しかし、蓮姫を囲むかのような魚人の将たちが、背中にほんの少しの隙を見出してしまったようだ。
魚人の将はやはり強いのだ。
その隙を狙った将の魚人に瞬く間に二本の矢が貫通していく。蓮姫の危機に光姫が神業のごとく対応したのだ。
いつの間にか、真っ暗な海の四方には巨大な竜巻が発生していた。光姫である。五千歳の龍をも呑み込んでしまい。竜巻の中でバラバラにしてしまう。それでも、激しい烈風を幾重にも生み続ける。今さらながら光姫の力は計り知れなかった。
「龍は鬼姫さんと私に任せてください! 武さまはできるだけ体力と気を温存してください! 戦いはまだまだ続きます!」
そう光姫が叫んだ。
鬼姫がカッと目を見開いて、今まで一度も出したことがない本気をだした。その途端、ドンっという激しい衝撃音と共に、海上の風が一斉に逃げ出し、天鳥船丸の全ての帆がふっ飛んでしまうかのような暴風と熱気が発生した。
暴風で大船全体が揺れるに揺れ。天鳥船丸がまるで山のような荒波に煽られ、巨大な渦潮に巻き込まれたかのようだった。凄まじいまでの鬼姫の気に、これには皆が皆、床に踏ん張ってただ耐えるしかなかった。そうでもしないと、海に放り込まれてしまうだろう。まるで天変地異である。数多の五千歳の龍が目を見張り、負けじと咆哮を上げた。
鬼姫は、居合い腰から静かに抜刀した。
本気になった鬼姫は、やはり存在しないはずの神社で一番強いのだ。
「いざ!」
「いざ!」
鬼姫と負けじと力を開放した光姫が同時に気合を入れ、神鉄の刀と長刀を龍に向かって振りかざしていった。
二人の気だけで、この海域は満たされてしまうかのようである。
幾度も剣と長刀に宿る気が、数多の龍を両断をしていく。まるで、風船が割れたかのような大量の血飛沫が辺りに舞っていた。
光姫の発する四方の竜巻は、いつの間にか徐々にその離れた場所から距離を中心へと近づけていく。龍に多大な被害を被らせ、それでも、巨大な龍をも動きを鈍らせる烈風が、ここ天鳥船丸までをも襲っていた。
魚人の将はやはり強いのだ。
その隙を狙った将の魚人に瞬く間に二本の矢が貫通していく。蓮姫の危機に光姫が神業のごとく対応したのだ。
いつの間にか、真っ暗な海の四方には巨大な竜巻が発生していた。光姫である。五千歳の龍をも呑み込んでしまい。竜巻の中でバラバラにしてしまう。それでも、激しい烈風を幾重にも生み続ける。今さらながら光姫の力は計り知れなかった。
「龍は鬼姫さんと私に任せてください! 武さまはできるだけ体力と気を温存してください! 戦いはまだまだ続きます!」
そう光姫が叫んだ。
鬼姫がカッと目を見開いて、今まで一度も出したことがない本気をだした。その途端、ドンっという激しい衝撃音と共に、海上の風が一斉に逃げ出し、天鳥船丸の全ての帆がふっ飛んでしまうかのような暴風と熱気が発生した。
暴風で大船全体が揺れるに揺れ。天鳥船丸がまるで山のような荒波に煽られ、巨大な渦潮に巻き込まれたかのようだった。凄まじいまでの鬼姫の気に、これには皆が皆、床に踏ん張ってただ耐えるしかなかった。そうでもしないと、海に放り込まれてしまうだろう。まるで天変地異である。数多の五千歳の龍が目を見張り、負けじと咆哮を上げた。
鬼姫は、居合い腰から静かに抜刀した。
本気になった鬼姫は、やはり存在しないはずの神社で一番強いのだ。
「いざ!」
「いざ!」
鬼姫と負けじと力を開放した光姫が同時に気合を入れ、神鉄の刀と長刀を龍に向かって振りかざしていった。
二人の気だけで、この海域は満たされてしまうかのようである。
幾度も剣と長刀に宿る気が、数多の龍を両断をしていく。まるで、風船が割れたかのような大量の血飛沫が辺りに舞っていた。
光姫の発する四方の竜巻は、いつの間にか徐々にその離れた場所から距離を中心へと近づけていく。龍に多大な被害を被らせ、それでも、巨大な龍をも動きを鈍らせる烈風が、ここ天鳥船丸までをも襲っていた。