第30話
文字数 1,083文字
ここは食堂。
朝の7時を回った頃である。
「1000歳の龍が近づいています!」
一人の巫女が食堂への扉を開け放った。
皆、食事中だというのにすぐさま立ち上がった。
「数は!?」
蓮姫が声を張り上げた。
「かなりの数です!」
武は鬼姫の顔色を素早く見た。
さっきまで武と寝ていた鬼姫は顔色一つ変えずに、夕餉をちょいちょいつまんでいる。
武はホッとして、船室に置いてある神鉄の刀を一人取りに行った。
神鉄の刀を持って、甲板へと駆け付けた武の目の前には、もうすでに、鬼姫が数多の龍の前で仁王立ちしている。鬼姫は神鉄の刀身を居合い抜きし、逆袈裟斬りで海ごと真っ二つにした。
海が二つに割れた。
轟々と音のする二つに分かれた海の底では、怒り狂った龍がまるで蛇のように、すぐさまとぐろを巻き始めていた。
牙を剥き。咆哮をする龍にとっては凄まじい牽制だけではなかったのだろう。
一体の龍がいつの間にか真っ二つに裂けていたのだ。
二つに割れた海で、蓮姫は海の傾斜を走り回り、水のなくなった大地で、とぐろを巻き損ねた無防備な龍の心臓を狙い。一際長い槍で一体また一体と貫いていた。
武は、瞬く間に一つとなった海の上に着地した。
もうすでに、武と高取は海上を歩けるようだ。
今は海上を泳ぎはじめた巨大な龍が暴れ回る。
やはり、1000歳の龍は決して時を得ただけではないと、その威圧感だけで武はわかったのであろう。
荒波の海の上で武は龍の隙を見出そうとしていた。
隣から突然、湯築が駆けだし大きく飛翔した。そのまま飛び掛かり、龍の心臓を槍で抉った。龍の数はまだ81体もある。
だが、その一体の龍の胸に槍が貫通することなく途中で止まってしまったのだ。
力不足であったか。あるいは飛翔からでは力が半減するのだろうか。
槍を必死に抜こうとしていた湯築に、もう一体の龍の大口が迫っていた。
武は一旦。海面下へ頭から潜り、一回転をすると、そのまま浮上すると同時に、空を舞った。湯築に迫る龍に神鉄の刀を振るった。
本来。龍の鱗をも斬り裂くことのできる神鉄も、この時は切り込みが浅かったようだ。
恐らくは信じられないほど硬いのだろう。
「駄目だわ!」
たまらず、湯築は槍を捨て、遥か下の海面へと落ちていった。
武はその時、神鉄の刀で龍の胸の部分を刀の切っ先を真横にして全体重を乗せて貫き、そのまま力任せに横一文字に引き裂いた。
その方が龍の鱗や肉の抵抗を受けなくて済むようだ。
1000歳の龍にはまったく歯が立たないかのようだったが。
なんと、巨大な龍が息の根を止めていた。
武は有効な方法を探し当てたようだ。
朝の7時を回った頃である。
「1000歳の龍が近づいています!」
一人の巫女が食堂への扉を開け放った。
皆、食事中だというのにすぐさま立ち上がった。
「数は!?」
蓮姫が声を張り上げた。
「かなりの数です!」
武は鬼姫の顔色を素早く見た。
さっきまで武と寝ていた鬼姫は顔色一つ変えずに、夕餉をちょいちょいつまんでいる。
武はホッとして、船室に置いてある神鉄の刀を一人取りに行った。
神鉄の刀を持って、甲板へと駆け付けた武の目の前には、もうすでに、鬼姫が数多の龍の前で仁王立ちしている。鬼姫は神鉄の刀身を居合い抜きし、逆袈裟斬りで海ごと真っ二つにした。
海が二つに割れた。
轟々と音のする二つに分かれた海の底では、怒り狂った龍がまるで蛇のように、すぐさまとぐろを巻き始めていた。
牙を剥き。咆哮をする龍にとっては凄まじい牽制だけではなかったのだろう。
一体の龍がいつの間にか真っ二つに裂けていたのだ。
二つに割れた海で、蓮姫は海の傾斜を走り回り、水のなくなった大地で、とぐろを巻き損ねた無防備な龍の心臓を狙い。一際長い槍で一体また一体と貫いていた。
武は、瞬く間に一つとなった海の上に着地した。
もうすでに、武と高取は海上を歩けるようだ。
今は海上を泳ぎはじめた巨大な龍が暴れ回る。
やはり、1000歳の龍は決して時を得ただけではないと、その威圧感だけで武はわかったのであろう。
荒波の海の上で武は龍の隙を見出そうとしていた。
隣から突然、湯築が駆けだし大きく飛翔した。そのまま飛び掛かり、龍の心臓を槍で抉った。龍の数はまだ81体もある。
だが、その一体の龍の胸に槍が貫通することなく途中で止まってしまったのだ。
力不足であったか。あるいは飛翔からでは力が半減するのだろうか。
槍を必死に抜こうとしていた湯築に、もう一体の龍の大口が迫っていた。
武は一旦。海面下へ頭から潜り、一回転をすると、そのまま浮上すると同時に、空を舞った。湯築に迫る龍に神鉄の刀を振るった。
本来。龍の鱗をも斬り裂くことのできる神鉄も、この時は切り込みが浅かったようだ。
恐らくは信じられないほど硬いのだろう。
「駄目だわ!」
たまらず、湯築は槍を捨て、遥か下の海面へと落ちていった。
武はその時、神鉄の刀で龍の胸の部分を刀の切っ先を真横にして全体重を乗せて貫き、そのまま力任せに横一文字に引き裂いた。
その方が龍の鱗や肉の抵抗を受けなくて済むようだ。
1000歳の龍にはまったく歯が立たないかのようだったが。
なんと、巨大な龍が息の根を止めていた。
武は有効な方法を探し当てたようだ。