第96話

文字数 326文字

「武!」
「武様!」
 湯築と鬼姫が自然に流れる涙をそのままに、二人は武の袂へと駆けだした。
「どうしよう……」
 高取は俯いている乙姫の方をキッと睨むと、すぐさま床にタロットカードを広げた。何をしていいのかわからないのだろう。蓮姫と、光姫と地姫までもが高取の広げるタロットカードを覗いていた。
「お止めなさいな……もうすでに決まっているのです」
 乙姫である。
 乙姫は最初からすでに決断をしていたのだ。
「地球から私たちは帰ります……ただ……」
 高取は嫌な予感がしたようだ。
 それは私もである。だが、それで武が助かるのなら……。
「東龍も武も、もう助かりません。でも、本星なら……」

 傷を負い過ぎた二人を治すには、やはり本星であろう。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み