第97話 エピローグ

文字数 623文字

「それで武君が……竜宮城の住まう惑星へ?」
「ええ、そうなの。これで命には別状はないわね。すぐには戻れそうもないけど……」
 宮本博士と高取はグラウンドで晴れ渡った空を見上げていた。
 鳳翼学園からはすでに、生徒やその父母、教師たちが家へと帰って行った後である。天鳥船丸や虚船丸らも帰り支度であった。
ここからでは湯築と麻生と卓登の姿は見えない。
「実は、こうなってしまうことを私たちは予め知っていたんだよ……」
 宮本博士はぼそりと言って葉巻に火を点けた。
 高取は眉間に皺を寄せたが、何も言わずに頷き。続きを急かした。
「あ、そうですね。学園都市の研究所で深海探査をしていた時に、海の底に一人の女性がいたんですよ。その時は驚愕したのですが、誰かなー? て、思った時に……」
 痩せすぎといえる研究員が言ったのだ。 
 小太りの研究員はしみじみとした顔で、その痩せた研究員の言葉を引き継いだ。
「英雄は死に。二度生き返る。そして、星に生き星で生きながらえるだろう。って、言ったんです。海の底ですよ。そこは。その女性が言った言葉がよく聞こえたから、みんなびっくり仰天しちゃって……今までおぼろげだったけど、確かに覚えていたんだよ。まあ、ぼくは今でも信じてないけどね……」
 小太りの研究員は高取にコーラを渡して微笑んだ。
「大丈夫さ。惑星から無事に帰って来るってさ。麻生ちゃんの元に……」
「そう。武の旅はまだ始まったばかりなのね……」




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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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