第128話 天才姉妹

文字数 427文字

 俺はこの惑星から地球の方角はさっぱりわからないけど、中空にガッツポーズをした。勿論、麻生 弥生に向けてだった。
 それを見ていた鬼姫さんは慌ててそっぽを向いた。

 見ない方がいいだろうな。鬼姫さんの顔は……。
 軽い危機感を覚えていると、鬼姫さんはハッとして急に顔を向けた。

「武様? 龍の気が戦いの最中で急激に上がるようになりましたね。でも、タケル様のお力だけではないようです」
「え……?」
 俺は城下町を走っている時に渡された小枝を思い出した。

「避雷針って知っている?」

 と、言っていたチャイナドレスの女性から貰ったんだった。
 ズボンから取り出してみると、小枝は仄かに光っていた。
「周囲の龍の気を取り入れていますね。何ですか? その小枝?」
 鬼姫さんが首を傾げる。
 少し熱も含んだその小枝は、海水に浸かっても変化がなかったし、なんていうか……お守り?
「……? 鬼姫さん。俺、この小枝の持ち主にお礼を言ってきます」
 俺は静かになった戦場から城下町の方を向いた。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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