第84話 四海竜王戦
文字数 817文字
私は急いで天鳥船丸へと向かった。
武の生命が気になったからだ。
私は遥かなる時の中で望郷を持ち続けていたが、恐らく今ではすでに本星を捨てていたのだのだろう。
雨風が狂ったように暴れ回る海上を一目散に進み。何とか武たちのところに辿り着いたが、時すでに遅かった。天鳥船丸と無数の虚船丸は開戦をした後だったのだ。暗黒の海は、これ以上ないほどの血潮巻き上がる真っ赤な激戦区となっていた。
荒れるに荒れる大海原で、大きな渦潮から天鳥船丸だけを何かが集中して襲ってきていた。
「そっちにもいるわ!」
高取である。
「わかったわ!」
湯築が長槍を振り回した。
天鳥船丸の端から多くの魚人たちが海上から真っ暗な甲板へと飛び込んでくるのだ。
皆、甲板で応戦していた。
「ハイッ!」
甲板では、蓮姫が一際長い槍を横一文字にし、突きを繰り出し、振りかぶった。湯築も長槍を袈裟懸けにし、振り回しては、多くの魚人を幾度もはふっている。それでも、まるで無尽蔵に魚人たちは甲板へと飛び込んできていた。
その時、天をも覆う稲光と共に、轟雷が海上へと降り注いだ。それは一つの渦潮に直撃し、天鳥船丸へと飛び跳ねていた数多の魚人たちと共に渦潮が跡形もなく光の中へと消え去った。雷を降らしたのは他でもない高取である。
だが、渦潮は一つではない。
その数はとても多いのだ。
天鳥船丸へ視線を戻すと、次々とモリを上段に構えながら飛び込んでくる魚人たちを、真っ先に鬼姫や武が斬り捨てている。
「皆さん! この露払いは、後もう少し続きます! 頑張ってください!」
長刀を振るう光姫も率先して戦況を有利に進めていた。
戦いの最中。前線に立つ武と鬼姫と湯築は同時に頷いた。
四海竜王はどうやら、まだ海上の遥か遠い場所にいるのであろう。
恐らく今は、こちらの体力をできるだけ削ろうとする作戦なのだ。
様々な思惑と策が交差する戦である。
武の生命が気になったからだ。
私は遥かなる時の中で望郷を持ち続けていたが、恐らく今ではすでに本星を捨てていたのだのだろう。
雨風が狂ったように暴れ回る海上を一目散に進み。何とか武たちのところに辿り着いたが、時すでに遅かった。天鳥船丸と無数の虚船丸は開戦をした後だったのだ。暗黒の海は、これ以上ないほどの血潮巻き上がる真っ赤な激戦区となっていた。
荒れるに荒れる大海原で、大きな渦潮から天鳥船丸だけを何かが集中して襲ってきていた。
「そっちにもいるわ!」
高取である。
「わかったわ!」
湯築が長槍を振り回した。
天鳥船丸の端から多くの魚人たちが海上から真っ暗な甲板へと飛び込んでくるのだ。
皆、甲板で応戦していた。
「ハイッ!」
甲板では、蓮姫が一際長い槍を横一文字にし、突きを繰り出し、振りかぶった。湯築も長槍を袈裟懸けにし、振り回しては、多くの魚人を幾度もはふっている。それでも、まるで無尽蔵に魚人たちは甲板へと飛び込んできていた。
その時、天をも覆う稲光と共に、轟雷が海上へと降り注いだ。それは一つの渦潮に直撃し、天鳥船丸へと飛び跳ねていた数多の魚人たちと共に渦潮が跡形もなく光の中へと消え去った。雷を降らしたのは他でもない高取である。
だが、渦潮は一つではない。
その数はとても多いのだ。
天鳥船丸へ視線を戻すと、次々とモリを上段に構えながら飛び込んでくる魚人たちを、真っ先に鬼姫や武が斬り捨てている。
「皆さん! この露払いは、後もう少し続きます! 頑張ってください!」
長刀を振るう光姫も率先して戦況を有利に進めていた。
戦いの最中。前線に立つ武と鬼姫と湯築は同時に頷いた。
四海竜王はどうやら、まだ海上の遥か遠い場所にいるのであろう。
恐らく今は、こちらの体力をできるだけ削ろうとする作戦なのだ。
様々な思惑と策が交差する戦である。