第57話

文字数 344文字

 その日の夜。

 いつも夜中の見張りをしている三人組は、望遠鏡を持ちだし船内をかなり警戒しながら歩いていた。
こんな夜だ。
 それくらいはするのが当たり前であろう。
 もっとも東龍の巨大さでは、警戒してもあまり意味がないのだが……。
「あれ。いいなー」
「いいなー」
「いいですねー」
 三人組は口ぐちに言っていた。

 なんのことか?

 雨風によって濡れた大揺れの操舵室前の甲板の端に、一人のずぶ濡れの男が現れた。
 東龍である。
 人間の姿の美しい東龍は、薄暗い船内に入っていった。

 なにやら人の気配を探っているようだ。
 ここから見ているうちに、はて? 武の船室へと来てしまった。
 
 どうやら闇討ちをしようとしているらしい。
 ここからではどうしようもないが……。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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