第100話

文字数 502文字

 日本海域
 巡視船内 浮遊丸 午前5時0分

「このところ雨が止むことがないなー」
「そうでありますか?」
「半年前みたいに世界規模だってさ」
「……」
「ありゃ、大変だったが……またとはなー」
 戸豪 正は、部下の国助 実の顔を見続けても仕方ないので、何か注意を引くものはないかと、考えあぐねているそばから真っ暗な船室で、レーダーにも肉眼にも映る大量の渦潮を発見した。
「なんだか、前と同じですねー」
 国助の震える唇から出た言葉だった。
「ああ、半年前……。確か竜宮城が攻めて来たって、あれか?!」
 険しい顔で戸豪は前方を睨んだ。
 渦潮は更に数を増やした。
 轟々と雨風の鳴る暗き海だった。
 普段なら、激しい雨風も気にしないのだが、戸豪は半年前のこともあって、かなり神経を使わざるを得なかった。
「大騒ぎになったが、ありゃー、さすがに俺でももう死ぬかと思ったな」
「ええ。そうであります」
「なんでも、日本のどこかの神社が退治したって?」
「はあ……」
 巡視船は、渦潮から遠ざかろうと面舵を取った。
 戸豪はもはや危機的状況なのを認識していた。
 皆の噂が本当なら渦潮から龍がでる。
 
 そう思ったが……。
 そこから……現れたのは……。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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