第108話 薄屋のミンリン
文字数 1,183文字
タケルになって強い水流で息ができないのを少しだけ我慢すると、色の違う海の中。魚も見たことのない海にいた。俺はすぐに海上へと泳ぐ。
ここは水の惑星だ。
水しかない星。
ここが宇宙のどこなのかは、恐らくわかる人はいない。
七色の月が三つ昇る星。
雲は澄み渡り。遥か天空がよく見える。
ここ竜宮城の住まう水の惑星で、俺は波もない大海のど真ん中で浮かんでいた。穏やかな風に撫でられ。どこへ行っていいのか周囲を窺う。
しばらくすると、俺のところまで遥か東の方から北龍が泳いできてくれた。
「大丈夫か? タケル?」
北龍は竜宮城から東龍にお願いでもされて来たのだろうか。きっと、ここまで俺を気遣って泳いできてくれたんだな。辺りを見回すと一人で泳いできたようだ。東龍は気さくなところがややあるんだな。その反対に北龍は俺と同じく少々真面目過ぎなんだ。一人でも大丈夫だと言いたかったけど、せっかくだしなあ。
俺は北龍と大陸の竜宮城へと周囲を覆う大海と潮風の真ん中から戻ることにした。どうやら、水淼の大龍の脅威から竜宮城は今のところ無事なのだろう。
竜宮城の軍隊はことのほか優秀なんだって北龍が言った。
俺はタケルから元に戻り、海の上を歩いた。時折、後ろの海に今も発生している渦潮を何度も振り返った。
「麻生……またきっと……君と……いつか……必ずな……」
俺はまず竜宮城の城下町へ向かった。
海の上を歩くのは最初は結構疲れたけど、いつの間にかもう慣れていた。
おや? 数時間後、俺が海から砂浜へたどり着くと同時に、東龍が大陸の砂浜から少し離れた城下町から走って来た。
シンと静まり返った城下町には、今は魚人は数少なくなり、代わりに魚人の将たちの武家屋敷が数多くあるって、それも海の上で北龍から聞いた。そこの一つに東龍は住んでいるって。
「どれだけ強くなった?! もっと強くなったんだよな?! 武よ?!」
「ああ……」
「そうか!! だんだん、面白くなって来たぜ!!」
「なあ、東龍よ。私も期待しているんだが」
俺の元へ駆けてつけた東龍と海の上からの北龍も俺の強さに期待をしているようだ。
西龍も南龍までも、渦潮が発生したと同時に俺の帰りを知ったみたいだ。
後ろを見ると、未だ天と地を繋ぐ壁のような水淼の大龍が佇んでいた。
だけど、魚人たちの大軍は皆、口から大量の泡を吹いて、水淼の大龍の前に水の壁のような水泡を発生させていた。
どうやら、泡が弾力のあるバリケードのように水淼の大龍の足止めになっている。
前の戦いで俺たちは惨敗だったが、竜宮城は無事だったんだな。
この大陸から北に数千キロ先にまで行くと。
更に竜王のいる水晶宮は遥か遥か北にあるって。
そこは寒い風の吹き荒れる氷山で覆われた身体の芯すらも凍る場所で、八部衆が守る竜王のその姿は、まだ誰も見たことはないと言われているんだって。
ここは水の惑星だ。
水しかない星。
ここが宇宙のどこなのかは、恐らくわかる人はいない。
七色の月が三つ昇る星。
雲は澄み渡り。遥か天空がよく見える。
ここ竜宮城の住まう水の惑星で、俺は波もない大海のど真ん中で浮かんでいた。穏やかな風に撫でられ。どこへ行っていいのか周囲を窺う。
しばらくすると、俺のところまで遥か東の方から北龍が泳いできてくれた。
「大丈夫か? タケル?」
北龍は竜宮城から東龍にお願いでもされて来たのだろうか。きっと、ここまで俺を気遣って泳いできてくれたんだな。辺りを見回すと一人で泳いできたようだ。東龍は気さくなところがややあるんだな。その反対に北龍は俺と同じく少々真面目過ぎなんだ。一人でも大丈夫だと言いたかったけど、せっかくだしなあ。
俺は北龍と大陸の竜宮城へと周囲を覆う大海と潮風の真ん中から戻ることにした。どうやら、水淼の大龍の脅威から竜宮城は今のところ無事なのだろう。
竜宮城の軍隊はことのほか優秀なんだって北龍が言った。
俺はタケルから元に戻り、海の上を歩いた。時折、後ろの海に今も発生している渦潮を何度も振り返った。
「麻生……またきっと……君と……いつか……必ずな……」
俺はまず竜宮城の城下町へ向かった。
海の上を歩くのは最初は結構疲れたけど、いつの間にかもう慣れていた。
おや? 数時間後、俺が海から砂浜へたどり着くと同時に、東龍が大陸の砂浜から少し離れた城下町から走って来た。
シンと静まり返った城下町には、今は魚人は数少なくなり、代わりに魚人の将たちの武家屋敷が数多くあるって、それも海の上で北龍から聞いた。そこの一つに東龍は住んでいるって。
「どれだけ強くなった?! もっと強くなったんだよな?! 武よ?!」
「ああ……」
「そうか!! だんだん、面白くなって来たぜ!!」
「なあ、東龍よ。私も期待しているんだが」
俺の元へ駆けてつけた東龍と海の上からの北龍も俺の強さに期待をしているようだ。
西龍も南龍までも、渦潮が発生したと同時に俺の帰りを知ったみたいだ。
後ろを見ると、未だ天と地を繋ぐ壁のような水淼の大龍が佇んでいた。
だけど、魚人たちの大軍は皆、口から大量の泡を吹いて、水淼の大龍の前に水の壁のような水泡を発生させていた。
どうやら、泡が弾力のあるバリケードのように水淼の大龍の足止めになっている。
前の戦いで俺たちは惨敗だったが、竜宮城は無事だったんだな。
この大陸から北に数千キロ先にまで行くと。
更に竜王のいる水晶宮は遥か遥か北にあるって。
そこは寒い風の吹き荒れる氷山で覆われた身体の芯すらも凍る場所で、八部衆が守る竜王のその姿は、まだ誰も見たことはないと言われているんだって。