第40話
文字数 1,270文字
「凄い鉄ですね。何で出来ているのかなー? いや、この重さは鉄じゃないなー」
小太りの研究員が神鉄の入った藁でできた籠を覗いて溜息を吐いていた。神鉄はデリケートなもので、加工しないとすぐに傷がつく代物だった。
「こんなので、斬っていたんですか?」
かなり細い研究員が感心している。
「ふーむ。不思議なことだらけで、ちっとも頭が整理できてないが。この重さと切れ味なら恐らくはダイヤモンドの硬度10を軽く超えているだろうな」
実際に龍を切り裂いた刀の切れ味と重さを知った宮本博士は、葉巻に火を点けようとした。だが、すぐに地姫の鋭い視線が突き刺さった。
偉そうだった宮本博士は慌てて、葉巻をポケットに入れた。
地姫は教室の中央で、これからは更に強い龍が幾度も来ると言ったのだ。麻生を大切にせよとも言い。踵を返し、麻生のいる2年B組へと向かった。
地姫の落ち着かない理由は、これからの龍の幾度の襲来だった。
麻生と地姫が出会ったのは、人混みの中の廊下であった。喧騒の中、周囲の人々は、美しい地姫をしばらく見つめていた。
「はじめまして、地姫と申します。武からこれを渡せと言われています。この鉄は神鉄といわれ、龍をも斬り裂くことのできる鉄ですよ。使うことはないでしょうが、どうかあなたのお守りにしてくださいね」
優しい声音の地姫は神鉄の刀身の護身用ナイフを麻生に渡した。
麻生は武からの贈り物を見て、プッとたまらず噴き出した。神鉄の護身用ナイフを手に取り、刀身を少しの間。見つめていた。
「毎日、磨かないとこうはなりません」
「本当に何も変わってないわね。真面目なところは……」
この水晶のように透き通った刃の護身用ナイフは武が自室で鬼姫の目を盗んでは、一日も休まず磨き上げたナイフだった。
地姫はこっくりと頷き。存在しないはずの神社からの武のことを話し出した。途中、地姫の知らないところや、地姫は知っていて私だけ知らないところがあった。
端折ったり、まとめたりと地姫の明快な話を聞くと、武が生き生きと躍動しているように伝わったはずであろう。
麻生は時折、その平静な顔に険しさがでたり、目を閉じて手をギュッと握りしめたりと、表情や態度が変化していた。たが、私の見解では恐らくただの焼きもちではなく。武の身を本当に案じているのだろう。
「そうですか……。あの人は……もう大丈夫ね……」
麻生は頷き。護身用ナイフを優しくポケットへ仕舞った。
「地姫さん。ありがとう」
そういうと、麻生は深々と頭を下げた。
まるで、武を守ってくれて、今までありがとうとも言っているようにも思えた。
「ええ……」
そんな麻生へ地姫は自然に微笑んでいた。
「では、私はこれからすぐにやることがあるので……失礼しますね」
地姫も踵を返し、2年A組付近に停泊している虚船丸へと戻っていった。虚船丸からは武士が数十人も降りて来ていた。きっと、これから龍との戦であろう。その準備である。
「これからどうなるんだ?」
麻生の後ろに卓登がいた。
小太りの研究員が神鉄の入った藁でできた籠を覗いて溜息を吐いていた。神鉄はデリケートなもので、加工しないとすぐに傷がつく代物だった。
「こんなので、斬っていたんですか?」
かなり細い研究員が感心している。
「ふーむ。不思議なことだらけで、ちっとも頭が整理できてないが。この重さと切れ味なら恐らくはダイヤモンドの硬度10を軽く超えているだろうな」
実際に龍を切り裂いた刀の切れ味と重さを知った宮本博士は、葉巻に火を点けようとした。だが、すぐに地姫の鋭い視線が突き刺さった。
偉そうだった宮本博士は慌てて、葉巻をポケットに入れた。
地姫は教室の中央で、これからは更に強い龍が幾度も来ると言ったのだ。麻生を大切にせよとも言い。踵を返し、麻生のいる2年B組へと向かった。
地姫の落ち着かない理由は、これからの龍の幾度の襲来だった。
麻生と地姫が出会ったのは、人混みの中の廊下であった。喧騒の中、周囲の人々は、美しい地姫をしばらく見つめていた。
「はじめまして、地姫と申します。武からこれを渡せと言われています。この鉄は神鉄といわれ、龍をも斬り裂くことのできる鉄ですよ。使うことはないでしょうが、どうかあなたのお守りにしてくださいね」
優しい声音の地姫は神鉄の刀身の護身用ナイフを麻生に渡した。
麻生は武からの贈り物を見て、プッとたまらず噴き出した。神鉄の護身用ナイフを手に取り、刀身を少しの間。見つめていた。
「毎日、磨かないとこうはなりません」
「本当に何も変わってないわね。真面目なところは……」
この水晶のように透き通った刃の護身用ナイフは武が自室で鬼姫の目を盗んでは、一日も休まず磨き上げたナイフだった。
地姫はこっくりと頷き。存在しないはずの神社からの武のことを話し出した。途中、地姫の知らないところや、地姫は知っていて私だけ知らないところがあった。
端折ったり、まとめたりと地姫の明快な話を聞くと、武が生き生きと躍動しているように伝わったはずであろう。
麻生は時折、その平静な顔に険しさがでたり、目を閉じて手をギュッと握りしめたりと、表情や態度が変化していた。たが、私の見解では恐らくただの焼きもちではなく。武の身を本当に案じているのだろう。
「そうですか……。あの人は……もう大丈夫ね……」
麻生は頷き。護身用ナイフを優しくポケットへ仕舞った。
「地姫さん。ありがとう」
そういうと、麻生は深々と頭を下げた。
まるで、武を守ってくれて、今までありがとうとも言っているようにも思えた。
「ええ……」
そんな麻生へ地姫は自然に微笑んでいた。
「では、私はこれからすぐにやることがあるので……失礼しますね」
地姫も踵を返し、2年A組付近に停泊している虚船丸へと戻っていった。虚船丸からは武士が数十人も降りて来ていた。きっと、これから龍との戦であろう。その準備である。
「これからどうなるんだ?」
麻生の後ろに卓登がいた。