第90話
文字数 980文字
だが、武が心配でこれから集中して見てみることにする。
タケルは西龍と南龍との戦いの真っ只中であった。
「でや!」
力任せに西龍の首を一本斬り飛ばすと同時に、超巨大な南龍の大口が迫るが、タケルの刀はすでに鞘に収まっていた。
南龍の口が四方向に裂ける。
目にも止まらぬ瞬間的な居合い抜きであった。
南龍は血を吐きながらの咆哮を上げ、今度はその巨体で体当たりをしたが、タケルは難なく躱した。タケルがいた場所の海の上には当然、西龍がいた。
強烈な重さで西龍が半分潰れた。南龍の頭部をタケルは大きく飛翔すると同時に剣に宿る気で切断した。
切断面からは脳髄が見える。
南龍と西龍は海の藻屑となった。
これには東龍は大笑いをしているかのような顔である。極めて好戦的で危険な性格が表れていた。奥の北龍もでてきた。その龍は体長100メートルの白き龍である。
タケルは東龍に向かって、振りかぶる。だが、龍の鱗で神鉄の刀が折れた。再度、もう一つの神鉄の刀を抜くが。北龍がその隙を見逃さなかった。
北龍の渾身の体当たりである。
それをタケルは刀で防いだ。
「が!」
神鉄の刀が折れ曲がると同時に、バキッと骨の折れる音が無数に辺りに鳴り響いた。
勢い余って、タケルは遥か海の端まで吹っ飛んだ。
折れた刀は今のところ見当たらない。
どこかの海の底であろう。
タケルは大丈夫であろうか……?
吐血していたタケルに一隻の船が音もなく近づいて来た。
おや、虚船丸であった。五体の龍もタケルを襲ってくるが? その時、轟雷が同時に五体の龍を灰燼と化した。
「タケル様! お初にお目にかかります! 地姫と申します!」
地姫を乗せた虚船丸は遥々鳳翼学園から来たのであった。
この虚船丸には、あの三人組が乗っていた。どうやら、天鳥船丸に地姫が最初に訪れ、皆を驚かせたのだろう。
武士が幾人もタケルを虚船丸の甲板まで引き上げると、負傷しているタケルに美鈴と河田と片岡の三人組が一振りの刀を差し出した。
「はい! この刀は虚船丸の奥にあった蔵から持ち出しましたのです! 武様! 頑張ってくださいね! 一本しかなかったから……多分、強力な妖刀ですよ!」
「ガンバです!」
「もうひと踏ん張りです! 武様なら楽勝ッスね!」
「てっ、オイ!」
片岡が即座に河田にツッコミを入れた。
何を隠そう。その刀は雨の村雲の剣であった。
タケルは西龍と南龍との戦いの真っ只中であった。
「でや!」
力任せに西龍の首を一本斬り飛ばすと同時に、超巨大な南龍の大口が迫るが、タケルの刀はすでに鞘に収まっていた。
南龍の口が四方向に裂ける。
目にも止まらぬ瞬間的な居合い抜きであった。
南龍は血を吐きながらの咆哮を上げ、今度はその巨体で体当たりをしたが、タケルは難なく躱した。タケルがいた場所の海の上には当然、西龍がいた。
強烈な重さで西龍が半分潰れた。南龍の頭部をタケルは大きく飛翔すると同時に剣に宿る気で切断した。
切断面からは脳髄が見える。
南龍と西龍は海の藻屑となった。
これには東龍は大笑いをしているかのような顔である。極めて好戦的で危険な性格が表れていた。奥の北龍もでてきた。その龍は体長100メートルの白き龍である。
タケルは東龍に向かって、振りかぶる。だが、龍の鱗で神鉄の刀が折れた。再度、もう一つの神鉄の刀を抜くが。北龍がその隙を見逃さなかった。
北龍の渾身の体当たりである。
それをタケルは刀で防いだ。
「が!」
神鉄の刀が折れ曲がると同時に、バキッと骨の折れる音が無数に辺りに鳴り響いた。
勢い余って、タケルは遥か海の端まで吹っ飛んだ。
折れた刀は今のところ見当たらない。
どこかの海の底であろう。
タケルは大丈夫であろうか……?
吐血していたタケルに一隻の船が音もなく近づいて来た。
おや、虚船丸であった。五体の龍もタケルを襲ってくるが? その時、轟雷が同時に五体の龍を灰燼と化した。
「タケル様! お初にお目にかかります! 地姫と申します!」
地姫を乗せた虚船丸は遥々鳳翼学園から来たのであった。
この虚船丸には、あの三人組が乗っていた。どうやら、天鳥船丸に地姫が最初に訪れ、皆を驚かせたのだろう。
武士が幾人もタケルを虚船丸の甲板まで引き上げると、負傷しているタケルに美鈴と河田と片岡の三人組が一振りの刀を差し出した。
「はい! この刀は虚船丸の奥にあった蔵から持ち出しましたのです! 武様! 頑張ってくださいね! 一本しかなかったから……多分、強力な妖刀ですよ!」
「ガンバです!」
「もうひと踏ん張りです! 武様なら楽勝ッスね!」
「てっ、オイ!」
片岡が即座に河田にツッコミを入れた。
何を隠そう。その刀は雨の村雲の剣であった。