第127話

文字数 436文字

 少しずつだけど四万の魚軍と一緒に海上を前進していた。
 大海には未だ多くの龍がいる。
 俺は閃いた。
 そうだ!
 蕪割で斬ろう!
 俺は龍の気を開放した。
 途端に辺りの潮風が凄い勢いで霧散し、波風が暴れるように荒れた。多くの龍が怯んだかのように思えた。
 精神統一して雨の村雲の剣を鞘に納め。
 目を瞑り龍のメを探した。
 あんな細い龍にも必ずメがあるはずだ。

「あった!」

 俺は刀を抜いた。
 瞬間。

「お見事!」
「お見事です!」
 鬼姫さんと蓮姫さんが同時に声を上げる。
 成功した蕪割で斬られた針のように細長い龍は、破裂したかのように血液を散りばめ真っ二つになっていた。
 迫り来る龍が少なくなって来た。
 どうやら絶体絶命の危機はなくなったようだ。
 魚軍も龍をはふりながら快進撃をしていた。
 澱んだ空気がすっきりとしている。
 もう脅威に感じることはなにもない。
 水淼の龍族の恐ろしい咆哮は潮風に乗って、消え去り。後退や撤退をしている龍も大半になった。どうやら俺たちはこの戦に勝利したようだ。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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