第64話 タケル

文字数 373文字

「? 地姫さん。それはどういう?」
 宮本博士が葉巻片手に不思議がっていた。
 地姫の手振りで、宮本博士はハッとして葉巻を靴でもみ消した。この学園はもともと禁煙だが、宮本博士は気にすることはないようだ。
「山門 武は無事にヤマトタケル様になりました。ヤマトタケルは伝承に伝えられた存在とは少し違いますが、とても強いお方なのです」
 地姫の声音はなにやら自信に満ちていた。
 思えば存在しないはずの神社から地姫は山門 武のことを知っていた。いや、もともと武のとこを詳しく知っていたのだ。

 余談だが、土浦にはヤマトタケルを祀った鷲神社がある。

「それでは、武君はもともと伝承上のヤマトタケルとは少し違うけれど、とても強い存在だったってこと?」
 かなり痩せている細い研究員が興奮気味にそう言うと、他の研究員たちはいつの間にか口笛を吹いていた。
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登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

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