第66話
文字数 622文字
一方、ここは天鳥船丸のフロアである。
さっきから納得していないといった顔の鬼姫とタケルは手合わせをしていた。今まで、やたらとタケルの顔を覗いていた鬼姫であったが、半ば強引に「それならお手合わせを」とタケルの手を掴んでフロアまで来たのだ。
「君は?」
「鬼姫という名です。では、いきますよ」
冷たい顔の鬼姫は神鉄の刀での手合わせを申し出ていた。刀を鞘から抜き腰を落とすと、周囲の空気がまるで空間ごと恐れおののくかのようにブルブルと震えだし逃げ出したかのような暴風となった。
同時に刀を振りかぶった。これに対して、タケルは神鉄の刀を抜いて斜めに軽く振った。途端に天鳥船丸の頑丈な壁に大穴が空いた。大穴を空けた剣に宿る気は凄まじい勢いで遥か彼方の海へと迸る。
これには鬼姫も腰を抜かし、呆然と大穴の空いた壁を覗いていた。
まるで勝負にならないのだ。
鬼姫は刀を鞘に納め。タケルに近づくと、すぐさま口づけをしてからフロアからでていった。どうやら、好いた対象に武とタケルが二人入って、鬼姫なりに納得をしたのだろう……。
フロアから通路へと出た鬼姫は、一人ひたすらに船内をドスドスと足音を立てて歩き回っていた。まるで、怒っているかのようだ。途中、タケルのための湯飲みを運んでいた光姫が鬼姫に対してニッコリとなんとも暖かい眼差しで微笑んでいた。
「武様……」
腰に差した神鉄の刀を時々見つめる鬼姫は、ただ混乱しているのだろう。
さっきから納得していないといった顔の鬼姫とタケルは手合わせをしていた。今まで、やたらとタケルの顔を覗いていた鬼姫であったが、半ば強引に「それならお手合わせを」とタケルの手を掴んでフロアまで来たのだ。
「君は?」
「鬼姫という名です。では、いきますよ」
冷たい顔の鬼姫は神鉄の刀での手合わせを申し出ていた。刀を鞘から抜き腰を落とすと、周囲の空気がまるで空間ごと恐れおののくかのようにブルブルと震えだし逃げ出したかのような暴風となった。
同時に刀を振りかぶった。これに対して、タケルは神鉄の刀を抜いて斜めに軽く振った。途端に天鳥船丸の頑丈な壁に大穴が空いた。大穴を空けた剣に宿る気は凄まじい勢いで遥か彼方の海へと迸る。
これには鬼姫も腰を抜かし、呆然と大穴の空いた壁を覗いていた。
まるで勝負にならないのだ。
鬼姫は刀を鞘に納め。タケルに近づくと、すぐさま口づけをしてからフロアからでていった。どうやら、好いた対象に武とタケルが二人入って、鬼姫なりに納得をしたのだろう……。
フロアから通路へと出た鬼姫は、一人ひたすらに船内をドスドスと足音を立てて歩き回っていた。まるで、怒っているかのようだ。途中、タケルのための湯飲みを運んでいた光姫が鬼姫に対してニッコリとなんとも暖かい眼差しで微笑んでいた。
「武様……」
腰に差した神鉄の刀を時々見つめる鬼姫は、ただ混乱しているのだろう。