第51話
文字数 851文字
実は私も……。いや、今は言うまい……。急いで学園を見に行かねば。恐らくは、地姫と自衛隊たちでは歯が立たぬ。
私は鳳翼学園へと辿り着いた。
四海竜王の南龍はまだ来ていないが、さすが地姫。感づいたようである。
地姫は、武士たちや教師たちに、2年A組付近に停泊している虚船丸からありったけの神鉄を自衛隊の教室へと運ばせている。
これで虚船丸の神鉄は全て無くなったのだろう。当然、弾がなくると自衛隊を抜いて、 地姫たちだけで戦わなければならないのだ。
なんとも分が悪い負け戦であろう。
恐らく南龍は私の知る限り齢1万年。
千年の時を十は越えているのだ。
その姿も、紅顔の男の子ではない。
恐ろしきは、その巨体にあるのだ。
地姫は、戦の準備の途中、麻生を探していた。
麻生は卓登を連れ、2年D組に来ていた。
生徒たちや教師たち、それと生徒たちの父母は忙しいようだ。皆、神鉄のことで頭が一杯のようである。
麻生は神鉄のナイフのことで宮本博士と話し込んでいた。神鉄のナイフは何やらプラスチックの容器に入れている。他の研究員は皆、ディスプレイに向かっていた。
「麻生さん?」
地姫の驚きの声も無理はない。
地姫は神鉄を入れたプラスチックの容器を怪訝に見ているが、内心この緊急時に何をしているのかと思っているのだろう。
「これに近いものの量産は、この設備ではどうかな? 嬢ちゃんの賢さはわかったが、かなり難しいぞ」
宮本博士が唸っていた。
「でも……。地球にある物質だし……。化学式がわかれば……弾丸用の小さな神鉄が増えれば」
麻生は卓登を連れ、どうやら神鉄を量産しようとしているらしい。
「化学式は……どうだ?」
宮本博士の言葉に、かなり細い研究員が首を傾げた。
「あの……測定しましたが……元素記号Feのただの鉄です……」
小太りの研究員が口を挟んだのだ。
「? 鍛え方によるのだ……いや、違う。精製の仕方だ」
宮本博士の言葉に、地姫は頷いた。
「ええ、そうです。山の麓にある渦潮から上がった鉄を海水と塩で洗うのです」
「?」
私は鳳翼学園へと辿り着いた。
四海竜王の南龍はまだ来ていないが、さすが地姫。感づいたようである。
地姫は、武士たちや教師たちに、2年A組付近に停泊している虚船丸からありったけの神鉄を自衛隊の教室へと運ばせている。
これで虚船丸の神鉄は全て無くなったのだろう。当然、弾がなくると自衛隊を抜いて、 地姫たちだけで戦わなければならないのだ。
なんとも分が悪い負け戦であろう。
恐らく南龍は私の知る限り齢1万年。
千年の時を十は越えているのだ。
その姿も、紅顔の男の子ではない。
恐ろしきは、その巨体にあるのだ。
地姫は、戦の準備の途中、麻生を探していた。
麻生は卓登を連れ、2年D組に来ていた。
生徒たちや教師たち、それと生徒たちの父母は忙しいようだ。皆、神鉄のことで頭が一杯のようである。
麻生は神鉄のナイフのことで宮本博士と話し込んでいた。神鉄のナイフは何やらプラスチックの容器に入れている。他の研究員は皆、ディスプレイに向かっていた。
「麻生さん?」
地姫の驚きの声も無理はない。
地姫は神鉄を入れたプラスチックの容器を怪訝に見ているが、内心この緊急時に何をしているのかと思っているのだろう。
「これに近いものの量産は、この設備ではどうかな? 嬢ちゃんの賢さはわかったが、かなり難しいぞ」
宮本博士が唸っていた。
「でも……。地球にある物質だし……。化学式がわかれば……弾丸用の小さな神鉄が増えれば」
麻生は卓登を連れ、どうやら神鉄を量産しようとしているらしい。
「化学式は……どうだ?」
宮本博士の言葉に、かなり細い研究員が首を傾げた。
「あの……測定しましたが……元素記号Feのただの鉄です……」
小太りの研究員が口を挟んだのだ。
「? 鍛え方によるのだ……いや、違う。精製の仕方だ」
宮本博士の言葉に、地姫は頷いた。
「ええ、そうです。山の麓にある渦潮から上がった鉄を海水と塩で洗うのです」
「?」