第92話

文字数 484文字

 慌てて北龍が助けに入るが、今度はタケルが剣に宿る気でツバメ返しをした。気は大気と大海ごと北龍を深く斬り裂いた。
それと同時に大海が真っ二つに割れた。ここから遥か下の陸が見えていた。二体の巨大な龍が落ちていった。
瞬く間に、海が元通りに戻るが。
 奈落の底の地へと激突した東龍と北龍は、負けじとその巨体を生かして、海中を暴れ回るように浮上してきた。北龍は大量の血を流しているが、タケルに再度突進しようとした。
重症を負った東龍も最後の力を振り絞って大口を開け、タケルに迫る。
だが、すぐに轟雷が二体の龍の頭上に直撃する。
 タケルが刀を振るえば、同時に地姫の轟雷が降るのである。
 これには、さすがに東龍も笑っていないようだ。
 東龍も北龍も決死の覚悟でタケルと地姫と戦った。
 しばらくは、剣と雷が二体の龍の血を多大に流させ、時には焼き払い、ようやくタケルは二体の龍に止めを刺していた。
辺りを見回すと、龍も魚人たちも逃げ去っていた。敵陣を綺麗に退いた大海原で鬼姫たちと武士たちと自衛隊は、傷つきながらもこの戦を見事に勝ち取っていた。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

山門 武。

麻生の幼馴染で文武両道だが、どこかしら抜けている。

「俺、変わらないから。そう……いつまでも……」

麻生 弥生。

武の幼馴染で学園トップの美少女。

「私は武と誰もいないところへ行きたい……例え、日本を捨てても……」

高取 里奈。

タロットカード占いが大人顔負けの的中率の不思議な女。

「明後日には辿り着いているわ。その存在しないはずの神社に」

武に世界を救うという使命を告げる。

湯築 沙羅。

運動神経抜群で陸上県大会二年連続優勝者。

過去に辛い失恋の経験があるが、二番目の恋は武だった。


鬼姫。

鬼神を祀る巫女。剣術、気、ともに最強。

蓮姫。

海神を祀る巫女。神出鬼没な槍技の使い手。

地姫。

白蛇を祀る巫女。雷や口寄せなど随一の不思議な力を持っている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み