第106話
文字数 792文字
海が悲鳴を上げる。
大穴からは、両脇へと海水が物凄い勢いで噴出していく。
なんと、大海は全て消え去り、断末魔と共に大地が見えてきた。
「これが……幻の剣。龍尾返し……」
轟々と音のする大海の大穴からは、珊瑚やカニやウニまでがここから見えて、俺は震えを少しでも抑えるのがやっとだった……。
額に浮き出た汗を拭って、鬼姫さんは俺を見つめてニッコリと微笑んでいた。
「すぐに覚えられそうですか? 武様?」
「武なら大丈夫だね」
蓮姫さんが俺の肩をポンと叩いた。
これには俺も震え上がった。身体中の筋肉が収縮してしまって止まらない。こんな奥技があるとは知らなかったんだ。これなら四海竜王にも楽に勝てたはずだ……。
「さあ、幻の剣は、まだまだあるんだよ。さっさと稽古を始めようか。武」
「……はい!」
…………
「でやぁ!」
それから腕が痛くなるほど何度か龍尾返しを練習した後、俺はここ離れ小島で、剣で背中から弧を描いた。そのまま刀の切っ先はガコンと大海のど真ん中を気で叩き割った。見事に鬼姫さんと同じような大穴を開けられたんだ。
けれども、大海にできた大穴は鬼姫さんほどじゃない。ある程度の範囲の海水と魚が遥か空へと舞い上がるくらいだった。ウニや珊瑚までもが海面から天空の天辺に向かって宙を泳いでいる。けど、あまり規模は大きくはなかった。
「お見事です! よくできました! 武様!」
「お見事! 武!」
水のなくなった大海に、空から海水が元へ戻りだす。豪雨のように降り注いでは、辺りには濃霧が生じた。それでも、鬼姫さんと蓮姫さんが感心して頷いていた。
まだまだだな……。
俺はキッと目を細めて、刀の切っ先を見つめた。
「武様。早くも幻の剣の一つの龍尾返しの初歩を習得したようですね。ですが、幻の剣はまだまだあるのです。全て習得できるかは、これからの修行次第ですね」
鬼姫さんが俺の傍で厳しい口調で言った。
大穴からは、両脇へと海水が物凄い勢いで噴出していく。
なんと、大海は全て消え去り、断末魔と共に大地が見えてきた。
「これが……幻の剣。龍尾返し……」
轟々と音のする大海の大穴からは、珊瑚やカニやウニまでがここから見えて、俺は震えを少しでも抑えるのがやっとだった……。
額に浮き出た汗を拭って、鬼姫さんは俺を見つめてニッコリと微笑んでいた。
「すぐに覚えられそうですか? 武様?」
「武なら大丈夫だね」
蓮姫さんが俺の肩をポンと叩いた。
これには俺も震え上がった。身体中の筋肉が収縮してしまって止まらない。こんな奥技があるとは知らなかったんだ。これなら四海竜王にも楽に勝てたはずだ……。
「さあ、幻の剣は、まだまだあるんだよ。さっさと稽古を始めようか。武」
「……はい!」
…………
「でやぁ!」
それから腕が痛くなるほど何度か龍尾返しを練習した後、俺はここ離れ小島で、剣で背中から弧を描いた。そのまま刀の切っ先はガコンと大海のど真ん中を気で叩き割った。見事に鬼姫さんと同じような大穴を開けられたんだ。
けれども、大海にできた大穴は鬼姫さんほどじゃない。ある程度の範囲の海水と魚が遥か空へと舞い上がるくらいだった。ウニや珊瑚までもが海面から天空の天辺に向かって宙を泳いでいる。けど、あまり規模は大きくはなかった。
「お見事です! よくできました! 武様!」
「お見事! 武!」
水のなくなった大海に、空から海水が元へ戻りだす。豪雨のように降り注いでは、辺りには濃霧が生じた。それでも、鬼姫さんと蓮姫さんが感心して頷いていた。
まだまだだな……。
俺はキッと目を細めて、刀の切っ先を見つめた。
「武様。早くも幻の剣の一つの龍尾返しの初歩を習得したようですね。ですが、幻の剣はまだまだあるのです。全て習得できるかは、これからの修行次第ですね」
鬼姫さんが俺の傍で厳しい口調で言った。