106.城の攻略
文字数 1,298文字
足元が揺れ、階段から巨大なハサミが飛び出た。ジャンプしていなければ体が真二つになっていたところだ。次々と、階段をハサミが突き破る。挟まれる前にそれを斬り、足場にする。
「捕まれ!」
アグルを背負い、さらに跳ぶ。天井からもハサミが出たので、斬ってしゃがみ、横から飛び出しては、足場を作り駆け上がる。
「前!」
アグルが指差す最上段には、シャッターが降り始めた。
「制限時間つきなんて聞いてないぞ!」
さすがに俺は歯をむき出して、剣をこれまで以上に振り回す。やっと、最後に飛び出したハサミを斬ると出られるというとき、左右同時にハサミが突き出た。
「なっ、危ないだろ!」
跳びながら一回転して、遠心力を利用し、ほぼ同時に斬りおとす。その根の部分を踏み台に、閉まりかけていたシャッターに飛び込む。背中で振り回されていたアグルが落っこちる。
「わ! 死ぬかと思ったよ」
「死んでたまるかよ」
ほっと一息といきたいところで、地鳴りがした。
「またかよ!」
廊下の左右の壁に穴が開いた。アグルを背負う。左右の壁から槍が飛んでくる度、アグルが絶叫する。
「しゃがむぞ!」
さらに、壁から槍が通過する。走るスピードが落ちると、あれで貫かれる。右から左へ、左から右へ、一直線に槍が飛び出す。廊下の終わりまであと、百メートルはある。槍の飛び出す速さも上がっていく。
「ジャンプするぞ!」
アグルが従いしがみついたのを確認している暇もなく、着地と同時に前のめりになりながら走る。
「お兄ちゃん後ろ!」
後ろから弓矢が飛んできた。横に跳びのくが、足は止めない。が、ペースが落ちる。急に上り坂になった。
「よくあるトラップだが、地味に手厳しいな!」
上から落ちてきた岩をよけながら、気合を入れ直すように叫んだ。
「あともう少しだよ!」
アグルが励まし、終わりを指差す。扉だ。あと数歩で着く。元気づいた俺はラストスパートをかける。
「火だ!」
扉が燃え始めた。だが、躊躇 している余裕はない!
「できるだけ縮まってろ!」
アグルを抱え、決死の突入を果たす。
「熱!」
黒いコートのところどころに火がついている。慌てて服をはたくと、穴だらけになった。
「生きてた。助かったー」
「だから死んでたまるかよ」
現われた通路を見渡す。
「いつになったら着くんだろうな」
暗くて何も見えない辺りから、罠の臭いがする。罠以外に置くものはないのか?
二人で寄り添いながら注意深く進む。魔力はさほど感じられないが、さっきまでのトラップといい油断できない。黒い影が床に広がっている。それを横目に通り過ぎようとすると、それが足元まで広がった。
「な、何だ?」
トラップかと思ったが、何かおかしい。さっきまでのものは、下手をすれば死ぬものばかりだったが、これは?
突然足が床に埋もれた。アグルは胸まで浸かっている。
「どうなってるの!」
剣で床を探るが、剣が沈んでしまう。抜くにも抜けなくなり、そのまま腕まで沈む。
「クソ!」
「お兄ちゃん!」
アグルが顔まで沈んでしまった。
「手をつかめ!」
小さな手が触れたときには、目の前が真っ暗になった。
「捕まれ!」
アグルを背負い、さらに跳ぶ。天井からもハサミが出たので、斬ってしゃがみ、横から飛び出しては、足場を作り駆け上がる。
「前!」
アグルが指差す最上段には、シャッターが降り始めた。
「制限時間つきなんて聞いてないぞ!」
さすがに俺は歯をむき出して、剣をこれまで以上に振り回す。やっと、最後に飛び出したハサミを斬ると出られるというとき、左右同時にハサミが突き出た。
「なっ、危ないだろ!」
跳びながら一回転して、遠心力を利用し、ほぼ同時に斬りおとす。その根の部分を踏み台に、閉まりかけていたシャッターに飛び込む。背中で振り回されていたアグルが落っこちる。
「わ! 死ぬかと思ったよ」
「死んでたまるかよ」
ほっと一息といきたいところで、地鳴りがした。
「またかよ!」
廊下の左右の壁に穴が開いた。アグルを背負う。左右の壁から槍が飛んでくる度、アグルが絶叫する。
「しゃがむぞ!」
さらに、壁から槍が通過する。走るスピードが落ちると、あれで貫かれる。右から左へ、左から右へ、一直線に槍が飛び出す。廊下の終わりまであと、百メートルはある。槍の飛び出す速さも上がっていく。
「ジャンプするぞ!」
アグルが従いしがみついたのを確認している暇もなく、着地と同時に前のめりになりながら走る。
「お兄ちゃん後ろ!」
後ろから弓矢が飛んできた。横に跳びのくが、足は止めない。が、ペースが落ちる。急に上り坂になった。
「よくあるトラップだが、地味に手厳しいな!」
上から落ちてきた岩をよけながら、気合を入れ直すように叫んだ。
「あともう少しだよ!」
アグルが励まし、終わりを指差す。扉だ。あと数歩で着く。元気づいた俺はラストスパートをかける。
「火だ!」
扉が燃え始めた。だが、
「できるだけ縮まってろ!」
アグルを抱え、決死の突入を果たす。
「熱!」
黒いコートのところどころに火がついている。慌てて服をはたくと、穴だらけになった。
「生きてた。助かったー」
「だから死んでたまるかよ」
現われた通路を見渡す。
「いつになったら着くんだろうな」
暗くて何も見えない辺りから、罠の臭いがする。罠以外に置くものはないのか?
二人で寄り添いながら注意深く進む。魔力はさほど感じられないが、さっきまでのトラップといい油断できない。黒い影が床に広がっている。それを横目に通り過ぎようとすると、それが足元まで広がった。
「な、何だ?」
トラップかと思ったが、何かおかしい。さっきまでのものは、下手をすれば死ぬものばかりだったが、これは?
突然足が床に埋もれた。アグルは胸まで浸かっている。
「どうなってるの!」
剣で床を探るが、剣が沈んでしまう。抜くにも抜けなくなり、そのまま腕まで沈む。
「クソ!」
「お兄ちゃん!」
アグルが顔まで沈んでしまった。
「手をつかめ!」
小さな手が触れたときには、目の前が真っ暗になった。