第188話 壮絶

文字数 455文字

 さよならの前夜。
 浮かんだのは三島由紀夫の『憂国』

 この短編をある方に勧められました。

 めくるめく官能……

 それですぐに注文した。

 しかし、まあ……

 新婚の美男美女の若夫婦。

 最後の夜、たぶん前夜、夫婦は濃密な営みの時間を過ごした。

 余力を残しておかなければならなかった。
 

 昭和11年2月28日、二・二六事件で蹶起(けっき)をした親友たちを、夫は叛乱軍として討たざるをえない状況に立たされた。
 親友が夫を誘わなかったのは、新婚だったからだ。
 
「俺は今夜腹を切る」
 妻は少しもたじろがずに
「覚悟はしておりました。お供をさせていただきとうございます」
と受け入れる。

 すでに、どんなことになろうと夫の後を追う覚悟ができていた妻はたじろがず、共に死を選ぶことを決意する。
 
 そして、ふたりで身支度を整え遺書を書いた後、夫の切腹に立会い、自らも咽喉を切り、後を追う。


 めくるめく官能ねえ。

 勧めてくれた方が

『春琴抄』は、三島が子どもに思えてしまうほどだ、という。
 取り寄せたけど、まだ読んでいません。


 
【お題】 さよならの前夜
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