第16話 わらばんし

文字数 473文字

お題 【余白】

『余白』といえば、中学の数学の先生を思い出す。
 1年の2度目の授業で、予習をしていかなかった生徒はこっぴごく怒られた。怒られたのは男子生徒だったけれど。
 怖くて、数学だけは勉強した。

 2年になると、その先生が担任になった。
 試験前には、わら半紙を数枚配る。それの表と裏に余白がなくなるまで、勉強して書いて埋めて提出させる。
 1枚でさえ埋めるのは大変だ。
 英文を、漢字を、公式を言いながら何度も書く。書いて余白を埋める。

 当時、紙といえばわら半紙だった。少し茶色っぽいきれいではない、B4の安価な用紙。
 先生が作る試験問題もわら半紙だった。

 私はその先生が担任になってから、成績が伸びた。1年の時の担任に褒められた。その先生は国語の先生。私は国語は元々得意だった。
 2年の、癖のある国語の先生の試験で100点を取った。私ひとりだけだったらしい。

 翌年の年賀状の、ある男子の文面は今でも覚えている。

「おめえ、頭いいなあ。
 うんこちんちん
 今年もよろしく」

 家族全員が読んで笑った。
 相手は私よりずっと勉強ができた。医者を目指していた。
 
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