第89話 電気屋の奥さん

文字数 611文字

 近所に古くからある電気屋さん。小さいながら頑張っていた……?
 1度だけ、部品を頼んだことがあるが、店の中はすさまじかった。
 バスも通る道路に面しているが、店の外に古い冷蔵庫や洗濯機が何台か並べて放置されていた。 
 ずいぶん前、夫が見た。外の冷蔵庫から何か取り出していた。コードを入れて使用している?

 看板は壊れたまま。家は地震が来たら倒れそう。噂ではいまだに水洗トイレではないとか。
 町の電気屋さんとして頑張ればよかったのに。 
 奥さんは昔から、日中髪にカーラーを巻いたまま、くわえタバコで店の外に出ていた。旦那もくわえタバコ。身なりは構わない。

 息子はもう大きいはずなのに、店の中にぬいぐるみがたくさん置いてあって、ご主人が娘にひとつくれた。娘は貰って喜んでいた。
 幼稚園のママたちの話では、なんと、この店のおかみさんは、ゲーセンのかみ……さん。
 これだけのぬいぐるみ取るのに、いくら注ぎ込んだのだろう? なんて思ってしまった。

 そのうち、電気屋のおかみさんは、パチンコ屋に入り浸り、と噂に。私も何度か入っていくのを見た。

 息子の代になれば良くなるかと思いきや、息子も同じような体型、雰囲気だった。店の中はますますすごいことに。

 
 今では誰も住んでいないのか? 店頭の冷蔵庫が通るたび減っている。
「危険! 近づくな」
のテープが貼ってある。外壁は壊れそう。すぐそばを車が通るのに。 

 住人はどこへ?


【お題】 ゲーセンの神
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